団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

GMとクライスラー、これが再建なのか大疑問 [BM時評] (2009/04/29)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 破産法回避の期限を4月末までとしたクライスラー、もう1カ月先に期限が来るGMの再建協議が大詰めを迎えていますが、29日に日経新聞が伝えた両社の「再建後の株主構成」は不思議極まりないものでした。債務のカットと株式化で、米国政府と全米自動車労組(UAW)が過半を占めるのです。
  《GM》
  政府・・・・・・50%
  UAW・・・・・39%
  債権者・・・・・10%
  現在の株主・・・1%
  《クライスラー》
  UAW・・・・・55%
  伊フィアット・・35%
  政府・債権者・・10%

 政府の緊急融資を含めた兆円単位の債務を大幅にカットする見返りに大量の株式を渡す結果、この構成になるのです。日経の記事は異例の株主構成が経営の判断を縛ることに注目していますが、それ以前に、これでは米国政府がGMと一蓮托生になってしまい、引こうにも引けなくなってしまいます。税金から出ている緊急融資が無価値になりかねない株に化けるのは奇妙です。オバマ政権は止むに止まれずなのかもしれません。しかし、完全にある種のモラル崩壊が起きています。

 両社共に巨額債務から身軽になって、生産体制も縮小し、採算ラインに乗せる腹づもりでしょうが、何割も縮んだ自動車市場で利益を出せる保証はありません。フィアットと組むクライスラーはともかく、GMには今どうしても必要な小型車の技術が無いのです。利益が出ない会社の株式は売れないので、政府はいつまでも株を持ち続け、潰さないために緊急融資を繰り返す最悪の構図が目に見えるようです。

 はっきり言って、このやり方は数字のマジックで、再建ではないと考えます。破産法11条(日本の民事再生法)を使って、事業会社として生きていける部分を再生させる、残りは思い切って清算する――それが資本主義社会の筋道でしょう。

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