団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

新型インフル、国内侵入は遥か以前に [BM時評] (2009/05/30)

(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 毎日新聞の「新型インフルエンザ:4月末、既に国内発生?−−感染研」など各紙が「国立感染症研究所(感染研)は29日、関西で最初に新型インフルエンザの感染が確認された5月16日より2週間以上前の4月28日ごろ、神戸市、大阪府内で患者が発生していた可能性があるとの見方を示した」と伝えています。薬局でのタミフルなどの治療薬処方箋の数を調査して、B型の流行が終わった後、4月末に「神戸市中央区の薬局で治療薬の処方が例年を上回って急増し、流行レベルに達した。大阪府内でも5月1日に池田、枚方市、13日に池田市で同様の状態になった」といいます。

 これで、ひたすら検疫に奔走していた政府の愚かしさがはっきりしました。「蔓延を遅らせる効果があった。体制を整える時間的な余裕を稼げた」とはよくも言ったものです。成田の検疫で見つかる遥か以前に新型ウイルスは国内に潜入して、どんどん感染者を増やしていたのでした。

 「感染症診療の原則」の「参議院予算委員会 その2 戦略編」は国立感染症研究所の岡部信彦感染症情報センター長らの専門家が繰り返し、水際対策は効かないと指摘していた事実を列挙しています。「最後に残るブログ編集部の疑問は、その岡部先生をはじめとする専門家がアドバイスをしてもなお、この現状はなぜ?です。ここから先はジャーナリストの仕事ですね」

 まさしく在京メディアは検疫ごっこを追うことしかしなかったのでした。関西の蔓延を見ても東京に患者が出ないことを不思議に思えないセンスには、ほとほと愛想が尽きました。今回の感染研の発表は、京都や茨木で感染患者発見の前後に治療薬処方箋が同じ市内で多数出ていることも明らかにしています。「患者発見」は氷山の一角であり、周辺には遺伝子検査に回らなかった患者が多数いたのです。この蔓延状態が関西に止まるはずがありません。現在なお、遺伝子検査を制限して「患者を見つけたくない東京都」と「それをスキャンダルとして告発しない在京メディア」はいずれ真相が明らかになるに従って、社会的信用を失うでしょう。

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