リンクだけで犯罪・逮捕は日本警察の常識!! [BM時評]

 読売新聞の「海外の児童ポルノ・アドレス掲載、19歳私大生ら摘発」が8日、「海外の児童ポルノサイトのアドレスをインターネット掲示板に掲載した」「児童買春・児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)容疑などで」神奈川県警が男2人を逮捕、掲示板開設者の19歳私大生を書類送検すると伝えて、「リンクを張っただけで逮捕されるのか」とネット上、騒然としています。不思議と思い、少し調べたら、児童ポルノでリンクを張っただけでの摘発例はこれが最初ではなく、日本警察にとって当たり前の捜査なのですね。むむ、これはショックでした。

 よく知られたブログなら「404 Blog Not Found」の「 URLを掲示しただけで刑事犯?」が「これは、話しにならない、を通り越して、話しが出来なくなる」「これが刑事犯ということであれば、以下のリンクはどうなのだろう。刑事犯は私?それともリンク先?それともリンク先で表示されるリンクのリンク元?」と、「児童ポルノ - Google 検索」「Yahoo!検索 - 児童ポルノ 」などを並べて疑問を呈しています。グーグルのアドセンスには怪しげな広告も掲示され「特にGoogleの例では、『児童ポルノ』という単語が販売されたことまで示唆されている。これがアウトなら、検索エンジンは全部クロにしないと鼎の軽重が問われるでしょう>当局各位」と訴えたい気持ち、良く分かります。

 読売の記事をよく読むと、「これまで国内の児童ポルノサイトのアドレスを掲載した摘発例はあったが」との一節があります。記憶になかったのでネット上を検索すると、「つれづれコンサル」の「う??ん、会員制のリンク集だと・・・」に行き当たりました。2007年7月に大阪府警が会員制サイトを運営してポルノ画像のアドレスを会員に教えたとして2人を逮捕していると紹介されています。自民大敗の参院選のころで、情勢調査などで私は忙しすぎてネットどころではなかった時期です。

 このサイト主は「記事には公然陳列とありますが、この児童売春・ポルノ禁止法が出る前に、猥褻画像が掲載されているサイトへリンクを貼ったことで刑法175条『公然わいせつ』に当たると逮捕・起訴された事件が、私が知っているだけで数件ありました。このときにも思ったのですが、危ないサイトへリンクを貼ることが違反になることが不思議でたまりませんでした」と書かれています。さらに前に摘発例があるようです。

 読売の記事に戻ると「2人とも同法違反罪などで罰金50万円が確定している」とあります。自分で罪を認めて略式起訴になり、正式な裁判に持ち込んでいないことが分かります。おそらくこれまでも同様にして、摘発された側が異を唱えなかったので、ずるずると続いてきた悪しき捜査手法でしょう。

 「つれづれコンサル」には児童買春・ポルノ禁止法条文が引用されています。「児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする」とありますが、「『電磁的記録その他の記録』の中にURLが含まれるものなのでしょうか!?」と疑問を投げかけていらっしゃいます。

 正式な裁判で、この条文がURLアドレスについてまでも認定しているのか、是非とも争っていただきたいものです。2007年の例は有料のサイトで3400人が加入、1350万円の収益を上げていますから加罰性があったと言えるかも知れませんが、今回は海外の掲示板にアドレス11件を書き込んだだけです。最近、私のブログにも海外から訳が分からないリンクが毎日のように書き込まれ、削除が面倒になる有り様です。放置していて、その中に児童ポルノ・アドレスがあったから「幇助」にあたるなどと言われるようなら、ブログのコメント欄やトラックバック欄は直ちに閉鎖するしかないと思います。

 【追補】一審で有罪判決あり……7/9付けのJ-CASTニュース「児童ポルノ、リンクだけで摘発 警察の好きにできる懸念も」は「海外サイトへのリンクで摘発は初めてというが、国内サイトでは、07年5月8日に大阪府警による全国初の摘発例がある」「被告代理人の奥村徹弁護士によると、大阪の例では、リンクは張っていなかったが、アドレスのURLがカタカナ交じりで書き込まれていた。その後、起訴されて一審で有罪判決となり、現在は控訴中となっている」と報じています。リンクを張っていなくてもアウトだったそうです。