自民政権最後の内紛は当事者ブログ生中継 [BM時評] (2009/07/19)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 総選挙敗北必至とされる自民党の両院議員総会開催請求を、党執行部は国会議員署名数が「規定の128人に満たない」として拒み、短時間の両院議員懇談会を衆院解散の直前に非公開で開いて逃げ切ることにしました。署名が何人足りなかったのか請求側に説明すらしなかったのですから、民主主義国家の政権政党なのに、民主主義的な自己統治ができないことを世間にさらけ出しました。地方自治体の首長リコール請求で「住民の署名数が規定に足りません」と突っ返して、何人不足なのか説明せずに済むことなどあり得ません。このようなルール違反を自覚しない政治家が権力を握っていること自体が社会の脅威になります。核の持ち込み疑惑などルール違反は日常茶飯事だったと言えます。

 自民党にはまだ選挙を戦う政権公約、マニフェストが出来ていない、いや、非公開で作られている原案を党幹部に見せたら大ブーイングが起きたという話です。解散後にこれを巡って議論は出るでしょうが、自民政権最後の内紛は両院議員総会に尽きました。「Japan Blogs Net」には現役の、つまり渦中の国会議員のブログがいくつも入っています。この数日、ウオッチしていて1日に何回も更新するのに驚きました。麻生批判派だけれど両院議員総会には反対の「山本一太の『気分はいつも直滑降』」は焦点の16日には6回も更新しています。

 16日の最終更新(日付は17日午前0時20分)、「世耕氏の怒り、誰もが損する争い」にこうあります。「先ほど、『世耕弘成参院議員』からの着信履歴(午後8時44分)を発見。 スグに折り返しの電話を入れた。 怒りに震えた声だった。 『一太さんと立場は違いますが、これだけは話しておこうと思って...』 世耕氏を中心とする『実働部隊』が必死の思いで掻き集めた『両院議員総会開催を要求出来る約130名の署名』が、麻生総理サイドの働きかけで切り崩されているらしい」「麻生首相が決定した『選挙日程』が変わるようなことがあってはならないと言い続けて来た。 が、しかし、懸命の努力で『所定の数』を揃え、幹事長に提出した署名が『後から覆される』なんて、どんなに悔しいだろう!」

 世耕氏自身の「世耕日記」「7月16日(木)【雑感2】」には「本当に姑息な動きで嫌になる。党幹部は『名簿の精査』を行っているそうだ。政府の役職についている署名者には官邸筋から圧力がかかっているとの相談もあった」「両院議員総会を開催して地方選挙連敗の総括をしようということと、政府の業務、役職にはまったく関連性はない」とあります。やはり署名をした組の「衆議院議員早川忠孝の一念発起・日々新たなり」「これだけ人がいれば少々のごたごたはあって当然、自民党は開かれた政党」は「なにか議論を封殺するような議論が罷り通っているのが、残念だ」「派閥の締め付けなどもはや利かなくなったことは、今回のドタバタで明らかになった」「すべては、これからである」と主張しています。

 山本一太氏によるとピーク時には1日3万人のアクセスと言います。これだけ高頻度にブログを更新している政治家とネット公衆の「化学反応」がこれから何を生み出すのか注目です。ここまで書いてニュースを確認すると、自民党第2派閥・津島派会長、津島雄二税制調査会長が衆院選青森1区への出馬を断念すると伝えられました。出ても勝てない情勢です。加藤紘一元幹事長は「自民の議席半減も」と言っています。総選挙後には派閥の締め付けどころか、自民党としてのアイデンティティが保てなくなるのではないか、と心配しています。特に麻生政権下で参院大勝の民主党政策に与党がにじりよる動きをしたために、野党になって主張する「軸」を失う恐れがあります。今回のマニフェストはその意味でも党再生の礎石なのですが、数人の党幹部が政策通議員を排除して密室にこもり、鉛筆をなめているのでは期待できるはずがありません。

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