団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

第183回「自民マニフェストでは下野して反攻は無理」 (2009/08/01)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 各党から政権公約=マニフェストが出そろって(文末にリンク集)、4年ぶり総選挙の舞台がようやく整いました。政界もネット世界の有り様も、2005年に「小泉郵政解散へ賛成論と反対論まとめ [ブログ時評32]」を書いた頃とは別世界になってしまいました。小泉・自民党が主導権を持っていたあのころ、急成長していたブログの世界に手をまず突っ込んでブロガーを集めたのも自民党広報部隊でしたが、今回のマニフェスト発表では海外まで含めてどのメディアにもオープンな民主党に対して、自民党は記者クラブ制の閉鎖的な枠を完全に守ってしまいました。

 解散時期は自民主導で決めたのに、いかに逆風が強いといえ、戦う前から守勢に入ってしまう可笑しさがあります。象徴するのは、野党のマニフェストが出た後から自民党マニフェストが出された点です。あちこちのブログで「与党のカンニング」とはやされています。民主党マニフェストを「財源の裏打ちがない、ばらまき政策」と非難しておいて、自らのも財源無し、場合によって赤字国債でもと説明するのですから、最大の争点かと思われた財源問題はネックにならなくなりました。

 それよりも深刻な問題があります。総選挙敗北必至と見られる自民党にとって、新マニフェストは下野した時に野党として戦う結集軸のはずです。ところが、そんな問題意識はひとかけらも感じられません。「自民党のマニフェスト」(経済ニュースゼミ)は「読み進んでいくと、これ本当に政党のマニフェストなのか、と思わずにはいられませんでした」「恐らく、この内容の9割以上は役所が書いたもので、言ってみれば各省庁の政策をホッチキスでとめただけだと。現在の各省庁が抱える主要な問題を網羅している、そんな雰囲気です」「どれが目玉で、どれを訴えたいのか、全然焦点がぼけてしまっています」と喝破しています。野党になって攻めることを考えれば場違いであることが理解されるでしょう。

 7月末までの自民党ウェブのトップページには、過去の政権公約に進むルートがありました。そこには安倍首相時代の政権公約、さらに小泉首相時代の「自民党 政権公約2005」などが並んでいました。新マニフェストは「郵政民営化こそ、すべての改革の本丸」の見出しが躍る2005政権公約の延長上にあるのか、進路が変更されているなら、どこまでを是とし、どこを不可としたのか書き分けずに、新たな政権公約など作れないはずです。衆院の3分の2を押さえ、法律上は何でも出来た政権与党が、実質には疑義が多い郵政民営化をした以外には、この4年間ほとんど何もしなかったと申し上げて良いでしょう。そしていま、現状維持外には進むべき道すら語れない、情けない醜態をさらしています。

 これから投票日までの1カ月、ブログとメディアの世界での様々な動きをウオッチしていきます。マスメディアは各論での与野党の差を分析するのに熱心で、違いを大づかみに見せることに成功しているようには思えません。その意味で、今日、見たブログにレベルが高いものがありました。「自民党と民主党のマニフェストから推測する社会の姿」(r271-635)はきれいなグラフィックスを巧みに使って、自民と民主の志向する社会像を鮮やかに表現しています。是非、ご覧になって下さい。

※各党マニフェストのリンク一覧
自民党
民主党
公明党
社民党
共産党
国民新党

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