団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

アイスランド噴火は地球規模で気候に響くか [BM時評] (2010/04/17)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 アイスランド南部の火山噴火で大量に放出された火山灰を吸い込とむジェット機が安全に飛べなくなる恐れがあって、欧州の航空網が麻痺してしまいました。噴煙は高さ1万6千メートル、成層圏に達したと報じられたのを見て、空の混乱もさることながら、地球規模の気候にも響くのではないかという危惧も感じ、関連するサイトを調べてみました。まず、噴火の様子を見てください。




 刻々と情報を流しているサイトとしては、英国BBCの「Live: Volcanic cloud over Europe」がよいでしょう。写真集としては「Iceland's disruptive volcano」が大判で迫力があります。雲の海を突き破って上がる噴煙は巨大ですし、前段にあった3月の割れ目噴火で溶岩が噴き出す情景も収められています。

 国内の専門家たちがTwitterでやり取りしている様が「2010年春アイスランド火山噴火:専門家系TL」でのぞけます。現在の段階は「アイスランドで14日から始まった噴火が、1783年ラカギガルの噴火と同規模に発展すると予想される観察事実はありません」というレベルのようです。

 このラカギガル噴火こそ北半球の平均気温を2度下げ、飢饉を招いたと言われる恐ろしい災害でした。今回噴火のエイヤフィヤットラヨークトル氷河にある火山とラカギガルは100キロくらいしか離れていません。ラカギガル噴火について詳しいデータを求めてみると、「ヨーロッパ火山紀行」の「第3章 アイスランド」に行き当たりました。真ん中あたりに「ラカギガルLakagigar―18世紀の災厄と異常気象」の項があります。

 「ラカギガルの1783年噴火がもたらした災厄の主犯は,溶岩や火山灰ではなく,おびただしい量の火山ガスであった.火山ガスは,噴火終了後も火口や溶岩流の表面から絶え間なく放出され続けた.この火山ガスの中には大量の硫黄酸化物が含まれており,それらは青味を帯びた硫酸の霧となって大気中をただよい,一部は酸性雨となって地上に降りそそいだ.また,成層圏に昇った霧は北半球全体の空をおおい,日射をさえぎって世界的な気候の寒冷化を引き起こした」

 ラカギガル噴火は長期間であったのに加えて、噴火後にも火山ガスの大量放出があったのです。今回の噴火も今後の成り行きを注目していかなければならないようです。

 地球のプレートを引き裂く現場は通常は大海の底に見られるのですが、アイスランドではそれが地上に顔を出しています。地理資料シリーズ「地球の裂け目. (アイスランドのギャオ). 」には「アイスランドの西半分は『北アメリカプレート』であり、東側は『ユーラシアプレート』である。ふたつのプレートは互いに反対方向に移動しているため、アイスランド島は平均すると毎年2cm程度、東西に引き裂かれている」とあります。激烈な火山活動はここに起因しています。裂け目が直下にあるのですから、溶岩や火山ガスの放出源は無限とも言えます。

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