第222回「公務員給与水準Gが見せた、なれの果て日本」 (2010/10/10)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 「社会実情データ図録」の最新リリースグラフ「図録▽OECD諸国の公務員給与水準」で日本の公務員数比率とGDP比の公務員給与比率がいずれも最低と示されて、ネット上で話題になっています。「はてなブックマーク - 図録▽OECD諸国の公務員給与水準」にはショックを受けた感じのコメントも見られます。

 グラフ制作者の意図は、縦軸に公務員給与比率、横軸に公務員数比率をとって一次近似直線を引き、その直線からの乖離具合で公務員給与が高めか低めかを考えようとするものです。「日本についても、この直線より下であり、給与水準が高いとは言えない。ただし、図録5193で見たとおり、日本の公務員は高年齢化が相対的に進んでいないので、勤続年数の長い高年齢公務員が少ないせいもあって、給与水準が相対的に低く出ている可能性もある。同一年齢、同一役職で給与水準がどうかは、そのための調査をしない限り分からない」「日本の公務員が給与的に恵まれているとしたら、それでも、海外の公務員が恵まれている程度以上ではないことを示している」

 ネットを最も利用している若い世代で非正規雇用化が恐ろしい勢いで進み、半数を占めようかとしています。9月末の国税庁・民間給与実態統計調査で民間企業の平均給与が2009年は前年比5.5%も減ったことが伝えられるなどして、安定している公務員への風当たりが強まっています。しかし、今回のはてなブックマークを見ると「公務員の人数比において諸外国と比べて圧倒的に低いということは言える。これで公務員削減するの?」「これさ、“人件費”がかかってないんならじゃあどこに金がかかってるんだ?って話になるわけだよね。そこが問題の根源だよね」「これでも日本国内の価値観は『公務員=勝ち組』。とってもふしぎだね」と驚きがあります。

 疑問を感じたら出典データにあたればよいわけで、OECDの「Government at a Glance 2009」を見ましょう。まず政府・自治体のコスト内訳を示す「8.1. Production costs as a percentage of GDP (2007)」と、労働力人口に対する公務員の割合「9.1. Employment in general government as a percentage of the labour force (1995 and 2005)」のグラフを掲示します。


 政府コストの青色部分が公務員給与比率で日本は6.2%しかなく、最低です。それでもGDPに対する政府コストの割合はOECD諸国最低ではなく、赤色部分の公共事業費などが大きく積み上がっています。「図録▽OECD諸国の公務員給与水準」は下の公務員数比率(日本が最低の5.3%)とを抜き出して関係を見ていた訳です。実際の歳出合計には膨大に積み上がっている国債・地方債の償還が大きく加わります。

 ここにもうひとつ歳入構成である「2.1. Structure of general government revenues as a percentage of GDP (2006)」のグラフを加えると財政状況の見通しが良くなります。

 こちらもGDP比で描かれており、下の黒っぽい部分が社会保障関係を除いた純粋の税収です。日本は18.0%でスロバキアの17.6%に次いで下から2番目です。最高であるデンマークの48.5%など北欧、3割前後の英仏、21.5%の米国に比べても際立って低いのです。

 このような特異な国の在りようを志向して出来たのではありません。総じて言えば冷戦終結後、日本をどのような国家にするのか、本格的に議論することなく、いや議論を避けて、ずるずると公共事業だけ続けてきた、なれの果てですね。「Government at a Glance 2009」には興味深い分析グラフがまだ多いようなので時間をとって眺めてみます。

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