反日デモ、Twitterの大波に中国当局が逆上 [BM時評]

 中国におけるTwitterの使われ方に一連の反日デモを通じて注目が集まっているところですが、「【速報】冗談つぶやいたツイ民まで拘束=本日の重慶反日デモ潰しに当局が見せた本気」(Kinbricks Now)が民衆操作が思うようにならぬ中国当局の逆上ぶりを伝えています。容認した反日デモが政府批判の様相を強くしている誤算からでしょうか。

 「26日には重慶市でのデモが予定されているが、同日未明、取り締まり強化を象徴するような事件が起きた。24日、宝鶏市デモのニュースを知った重慶市在住の女性ネットユーザーは『26日にもし重慶でデモがあったら、”おめでとう!暁波おじさん”っていう横断幕を持っていくよ』(暁波とはノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏のこと)とつぶやいたところ、26日未明、警察に突然訪問され、派出所に連れて行かれたという」

 言論の自由が無かった国に、ぽっかりと生まれた自由空間で軽口を叩いたら未明に警察連行とは。実質的に罪になりそうな点が無いのですから人権抑圧勝手放題の国とは言え、あまりにも酷いと思えます。Kinbricks Nowの「誰が反日デモをしかけたのか?!中国系メディアは反日デモ報道を封殺―中国」はデモの大波が襲った16日のネットの状況をこうも書いています。「ネット掲示板にはデモの写真や動画のアップが続いていますが、それも削除されたところが多いよう。中国版ツイッターの新浪微博では『デモ(游行)』が検索できないばかりか、『散歩』(デモではなく、『たまたま』ひとところに集まった風を装う中国の運動方式)も検索できず。さらにさらに『日本』『西安』『成都』『鄭州』も夜には検索できなくなっていました。自国の主要都市さえ検索できないって一体」

 中国からTwitterへは正式には遮断されていることになっていますが、様々な方法でアプローチされ、その情報が新浪微博など国内ネットに流れ出る構図になっています。Kinbricks Nowでは四川省綿陽市でデモ隊を追っかけて実況中継した長編が翻訳されていて興味深い内容です。

 ちょうど良いタイミングで「Business Media 誠」に「『Twitterは中国に100%自由な言論空間を与えた』――トップツイーター安替氏の視点」が掲載されました。劉暁波氏の夫人、劉霞さんは現在は取り上げられましたが、受賞決定からしばらくの間、iPadを使ってつぶやくことができました。「劉霞さんのフォロワー数は5000〜6000人ほどで長らく推移していたのですが、劉暁波さんがノーベル賞を受賞した10月8日ごろから増え始めて、1万人を大きく超える数にまで伸びたことが分かります。それは明らかに、『劉霞さんが何を考えているか』を外部の人が知りたいと思ったからでしょう」と中国の先駆的ネットユーザーの情報を伝えています。

 ブログの場合は「だいたい半日に1回、管理者がチェックして、まずい情報が出た時にブログが削られるという管理が行われていました」「しかし、Twitterでは一瞬のうちにたくさんのツイートが投稿されるので、それをすべてチェックするためにはものすごく多くの人手が必要となり、その費用も莫大なものとなるわけです。そのため、Twitterに代表されるマイクロブログは管理できない状態になってしまいました」

 即時にブロックできなかったからといって、後になって冗談まで摘発する中国当局が相手では甘い見通しは控えるべきかも知れません。この自由な発言空間が守られ、中国社会に影響を広げていくかどうか、注目したいと思います。

 【参照】2010/10/11「中国でもTwitterは効く?白虎頭村の強制執行止まる」