第232回「持続不能!?中国の無謀なエネルギー消費拡大」 (2010/12/05)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 国際エネルギー機関(IEA)の調べで、2009年時点で中国がエネルギー消費量で米国を抜いて世界最大になったことを、中国政府は認めたがらないようです。しかし、2010年時点では中国自身も世界最大を認めるでしょうから、遅かれ早かれの問題です。それを確認したIEAの「World Energy Outlook 2010」が気になって眺めているうちに、中国が打ち出している、あまりに無謀なエネルギー消費拡大見通しに驚いたので、いくつかグラフを並べながらまとめておきます。この見通しを10年単位で持続しながら経済成長ができるはずもなく、早晩行き詰まると考えます。

 「NEDO海外レポート NO.1066」の「IEA: 中国が米国を超え世界最大のエネルギー消費国家に」から最初のグラフを引用します。


 2000年には米国の半分もなかったエネルギー消費の激増ぶりがよく分かります。それでも1人当たり消費量に直すと、ようやく世界平均の水準に到達したばかりです。米国に比べると3分の1以下です。「中国の一人あたりのエネルギー消費量は、今もなお、先進工業国の平均の約1/3に過ぎない。このように一人あたりのエネルギー消費量が低いことや、地球上で最も人口の多い国家であることを考慮し、IEA は『今後さらに目覚ましい伸びが見込まれる』と結論づけている」のですが、「World Energy Outlook 2010」キーグラフを見れば首を傾げたくなります。

 このグラフは各国政府が地球温暖化を考慮し、比較的抑制的な新政策をとるとして集計されました。2000〜2008年の過去実績で世界のエネルギー消費増分の半分近くを中国が占めています。同じ期間でGDPの増加シェアは2割もありませんから、エネルギー効率が非常に悪い経済成長だった訳です。2008〜2035年の未来予測になるとエネルギー効率は多少改善されるものの、石炭消費量や石油輸入量では世界で増える分の9割を中国が占める、とんでもなく無謀なシナリオが描かれています。

 各種資源が豊富で欲しいだけ買える好環境は、現在の世界にありません。需要が急増すれば売り手市場ですから価格は吊り上がります。エネルギーと並んで中国が成長のために大量に使用量を増やした鉄鉱石が良い例です。資源価格高騰を考えるA/鉄鉱石 鉄鋼価格は再度上昇へ - JC-NET(ジェイシーネット)にある鉄鉱石価格のグラフを引用しましょう。トン当たりの値段が2003年以前に比べて5倍にもなっています。エネルギーも思い通りに買いまくれるはずがありません。


 「人民網日本語版」2010年6月21日の「エネルギー消費量、中国が米国抜き世界一に?」は「中国はまもなく世界一のエネルギー消費大国になる見込みで、年内にも米国を抜く可能性がある」と認めていますが、気になる部分があります。「中国が国内総生産(GDP)1万元(単位GDP)当たりのエネルギー消費量を5年ごとに20%削減できたとしても、2020年以降のエネルギー消費量は世界全体の30%を超えるという」

 「World Energy Outlook 2010」日本語版の表現は「中国はエネルギー需要量を2008-2035年で75%増加させる」「世界需要に占めるシェアは現在の17%から2035年には22%へ上昇」ですから、IEAに中国が提出している予測は本音よりも相当、控えめなのかも知れません。10年たてば2倍近くになってしまうのでしょう。つまり「無謀」と表現した上記シナリオを、さらに上回るエネルギー消費増加が想定されているようなのです。そんな無茶苦茶な――とだけ申し上げておきます。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国」関連エントリー

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