第244回「福島第一原発は既に大きく壊れている可能性」 (2011/03/12)

(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 東日本巨大地震による福島第一原発をめぐる昨夜来のニュースで、原子炉格納容器の圧力を下げないと破裂する恐れがあるとされて午後3時半に外気に逃す弁が開けられましたが、原子力安全・保安院が出している緊急情報を時系列で整理すると、既にこの原発は大きく壊れていると考えるべきです。炉心溶融がさらに進むことも心配ですが、原発にとって欠かせない周辺環境と核燃料の隔離機能が大幅に損なわれています。これは問題の弁開放をする前に起きていることです。原発正門付近での放射線量推移グラフを見てください。


 12日午前4時に0.07マイクロシーベルト毎時だった線量は4時半に0.59、7時40分には5.1、11時には6.7にも達しました。通常の値は0.05にも足りないようなので、周辺環境は百倍以上の放射線量になっています。また、中央制御室では通常の1000倍、150マイクロシーベルト毎時と伝えられていますから、敷地境界の正門で22倍しか薄められていない訳です。これは「だだ漏れ」と表現して良いレベルです。放射線管理区域のバリアが破られている上に、内部に桁違いの大放射能暴露がある証拠です。

 放射性ヨウ素が見つかっているとの報道がありますから、炉心溶融が起きて間違いなく核燃料の被覆管が損傷しています。《東電「燃料棒、半分露出」 水位低下で》(日経新聞)は「午前9時に燃料の上部50センチメートルが露出していたのが、10時30分には90センチメートル、午後1時には1.5メートルに拡大。午後3時28分には1.7メートルになった。燃料の長さは4メートルで全体のほぼ半分が露出したことになる」と伝えました。しかも、沸騰水型の原発では冷却水の上部は水と泡が混じった状態ですから冷却は十分でなく、水位がマイナスになる以前から核燃料の溶融が始まっている可能性があります。上のグラフはその溶融進行ぶりを示していると思います。

 【12日18時追補】NHKニュースが「福島県によりますと、福島第一原子力発電所の敷地の境界では放射線が観測され、その値は、1時間に1015マイクロシーベルトになったということです。この値は、一般の公衆が1年間に浴びる放射線の限度量を僅か1時間で受ける量に当たり、また国が法律に基づいて電力会社に緊急事態の通報を義務づけている基準の2倍ほどの放射線の強さだということです」と伝えました。驚くほど高い放射能汚染です。

 【12日21時追補】朝日新聞が「東京電力は12日午後8時20分、福島第一原子力発電所1号機の圧力容器を冷却するため、容器内に海水を入れる作業を始めた。海水を入れると設備の復旧が難しくなるが、炉心溶融の可能性も否定できないため、安全性を優先することにした。小森明生常務は同日夜の記者会見で「電源が十分ない中で、そういう手段を考えた。(原子炉に)ダメージがあるのは重々承知している」と述べた」とネットで報道。廃炉にする決断です。

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