第250回「『もう少しでチェルノブイリ』をグラフで実感」 (2011/03/24)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 福島第一原発の状況はまだ予断を許さない緊迫したものがありますが、環境汚染の現状は『もう少しでチェルノブイリ』とするグラフを京大原子炉実験所の今中哲二さんが「チェルノブイリ事故と福島事故の周辺線量率の比較」で公表されています。チェルノブイリ6日目と福島7日目を比べています。以下はそこから引用すると同時に、30キロ以内のデータとして東電が公表している「福島第一原子力発電所モニタリングカーによる計測状況(3月17日)」で「事務本館北」地点が3600〜4100マイクロシーベルト/時、「正門」地点が646マイクロシーベルト/時とあるので赤い文字でグラフ中に書き込みました。福島30キロ地点の最高値は170マイクロシーベルト/時でした。


 チェルノブイリ事故で6日目、5〜10キロ前後に見られる高汚染地点はまだ福島第一原発敷地外では報告されていませんが、福島7日目の所内で匹敵する高汚染があるのです。文部科学省が報告している30キロ地点の高めの汚染は北西方向です。23日に原子力安全委員会が出した「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算について」と照らし合わせると、報告されていない各地の汚染ぶりが想像できます。


 SPEEDIはヨウ素被曝で試算していて意味が判然としなかったのですが、環境汚染地図だと割り切ればよいのです。北西30キロ地点とは浪江町から葛尾村にある飛び地のレベル「4」スポットでしょう。その内側、双葉町、大熊町、富岡町にかけてレベル「3」(2倍)、レベル「2」(10倍)と高い汚染の領域が広がります。上のグラフにプロットされるべき、チェルノブイリでのやや低め汚染に相当する地点がそこにあります。

 放射性物質の放出はまだ続いています。原子炉と使用済み核燃料プールを早く通常の冷却に戻した上で、密閉にかからなければなりません。それが出来るまでに劇的なイベントが起きないよう祈るばかりです。

 【3/25追補】原発近くの詳しい汚染状況を具体的に示すデータが日本からは出ていません。米国が航空機で17〜19日に調べた結果《Radiation Would Have Spurred U.S. Evacuation .》が衝撃的でした。特に北西方向では20キロの範囲を超えて高い汚染があります。汚染地図を引用しておきます。原発から遠い地点で、しかも粗い点でおさえる日本の放射線モニタリング態勢は問題ありです。


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