福島原発事故政府報告書:空冷発電機は動いた [BM時評] (2011/06/08)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 国際原子力機関(IAEA)の閣僚会議に向けた福島原発事故の政府報告書が首相官邸ホームページで公開されました。とてもボリュームがあるもので、直ぐには読み切れません。まず1点だけ、事故発生当時に13台の非常用ディーゼル発電機で大津波にあっても起動し続けたものがあるとの情報があって気になっていましたが、それは6号機の空冷式であったことがはっきりしました。

 「概要」の「(4)福島原子力発電所の事故の発生・進展」の項で冒頭にこうあります。

 「福島第一原子力発電所では、運転中の1号機から3号機は、同日の14時46分に地震の発生を受けて自動停止した。同時に地震によって計6回線の全ての外部電源が失われた。そのため非常用ディーゼル発電機が起動した。しかし、襲来した津波の影響を受けて冷却用海水ポンプ、非常用ディーゼル発電機や配電盤が冠水したため、6号機の1台を除く全ての非常用ディーゼル発電機が停止した。このため、6号機を除いて全交流電源喪失の状態となった。6号機では、非常用ディーゼル発電機1台(空冷式)と配電盤が冠水を免れ、運転を継続した。また、津波による冷却用海水ポンプの冠水のため、原子炉内部の残留熱を海水へ逃すための残留熱除去系や多数の機器の熱を海水に逃すための補機冷却系が機能を失った」

 大津波に洗われて1号機から6号機まで、ほとんどの非常用ディーゼル発電機は、燃料タンクや冷却した熱を海水に逃がすポンプが被害を受けました。最も新しい6号機は空冷式を備えていて、それが生きたわけです。空冷式を用意したいきさつは知りませんが、この一事だけとっても東京電力は果たすべき注意義務を怠っていたと指摘できます。新設の原子炉に新たな安全装置を設けるべきなら、古い原子炉にも同様の改造をするべきなのです。危険が想定されていたからこそ、新たに空冷式発電機を設けた――この事実は決定的です。「想定外」という言い訳が空しく響きます。

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