第270回「女子サッカーW杯優勝:敵を知る米国も防げず」 (2011/07/18)

(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 女子サッカーワールドカップ決勝、日本時間で夜明けの勝利に涙の場面があまりなかったのが印象的でした。2度の失点をぎりぎりで追いついた後、PK戦に入る前の円陣で、なでしこジャパンの選手とスタッフが笑顔だったのを見て妙な安堵感を覚えました。佐々木監督は日頃のミーティングからネタを用意して選手を笑わせるのが常とどこかで読みました。表情がひきつっていた米国選手との差は歴然でした。米国1人目で宙に飛んだゴールキーパー海堀選手が残した右足でボールをセーブした瞬間、勝負あったと思えました。

 試合開始直後から米国選手の動きは機敏かつパワフルと圧倒的で、逆にこんなハイテンション状態が最後まで続くはずがないと思いつつも、メンタリティの高さに驚かされていました。思い起こしたのが14日付ニューヨークタイムズの記事《Japanese Team Comes of Age, and Lifts a Country》でした。

 米国ゴールキーパーのソロ選手による、こんなコメントを収録していました。なでしこジャパンの「彼女たちは試合そのものより、もっと大きくて意味がある何かのためにプレーしている。そんな大きな感情に突き動かされている相手に対抗するのは難しい」

 東日本大震災を背景にした日本チームの心情について深く理解しているがゆえに、米国チームの監督は徹底的に先手を打って叩く戦術に出たのだと思います。しかし、それでも諦めさせられなかったのです。そこまで敵を知る米国も防ぎきれなかったのが、この決勝の本質でしょう。

 【追加エピソード】毎日新聞の《なでしこ世界一:澤、PKは「10番」だった》がPK戦前の内情を伝えてほほえましく、面白い。重責の5番を蹴るものと思いこんでいたのですが「『PKは苦手でけりたくない』という澤は、順番を決めようとする佐々木監督に『最後にしてください』と頼んだという」「澤はGK海堀より後の『10番』に。周囲からは『ええっ』『澤さん、ずるい』などと声が上がったが、佐々木監督は『さっきお仕事をしてくれたから』と延長後半の澤の同点ゴールを理由に順番を確定。笑いが起きたという」

    このエントリーを含むはてなブックマーク   ※関係の分野別入り口・・・《文化・スポーツ》 《教育・社会》


【リンクはご自由ですが、記事内容の無断での転載はご遠慮下さい】
※ご意見、ご感想や要望はメールフォームで。

【INDEXへ】
無料メールマガジン登録受付中