今度は本物、高速鉄道事故で中国メディア反乱 [BM時評]

 無理が通って道理が引っ込む中国政府のメディア管理にとうとう穴が開きました。ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の《中国の一部メディア、高速鉄道事故の報道規制に抵抗》や韓国・中央日報の《<中国高速鉄道事故>変化する中国メディア…党の報道指針に反発》などが伝えました。「中国のメディアは週末、中国共産党の中央宣伝部が29日夜に出した命令に不満を示した。それはメディア編集者に対し、週末は事故の報道を控えめに行い、前向きなニュースを強調するよう命じたものだった」

 多数のメディアが泣く泣く引き下がった中で、部数70万部ほどの経済観察報がかなり尖っています。救助打ち切り後に助けられた女児を念頭に置いた「温州に奇跡はない」という7面特集は既に読めませんが、1日現在でも下に引用する鉄道帽をかぶったドクロが高速鉄道を脅かすイラスト付きコメントがあって、対当局では十分に刺激的だと思えます。人命を軽んじる営利主義的あるいは拝金主義的な鉄道部の腐敗を糾弾する記事なども読めます。  「中国という隣人」の「【温州列車追突】中国メディアがついにキレた」は「禁令が出たのが29日午後。30日分の報道も用意していた新聞は事故関連の紙面を直前差し替えるハメに。『21世紀経済報道』、『中国経営報』、『新京報』(北京)、『銭江晩報』(浙江)、『華商報』(西安)などが被害に遭っています」とし、その一方で「事故が起きた浙江省の『今日早報』だけではなく、『河南商報』(河南)、『上海青年報』(上海)『廈門商報』(福建)など一部メディアは一面を使って宣伝部に反旗を翻し、抗議する姿勢を見せています」と報じています。

 大紀元の《<中国高速鉄道事故>初七日に中宣部が箝口令 違反者への報復も始まる》はネット上に漏れだしているメディア関係者の悲痛な声を拾っています。「広州紙のベテラン編集者は、『今夜、百社の新聞が口をつぐんで記事を替えた。千人の記者が記事を消された。中国では1万の魂が行き場を失い、1億の真相が闇に葬られた。この国は無数のごろつきによって辱められている』と書き込む」

 いまネットで流れている言葉は重い意味を持ちます。強い当局批判で停職処分になった中国中央テレビ「24時間」のプロデューサーは「離れる前に同僚に8文字を送ったという。『守住底線、不惧犠牲』。(モラルの)最低基準を死守し、犠牲も恐れない、という意味だ」。そして広く流布しているという「中国そのものが雷雨の中を疾走する高速列車。あなたも私も観客ではない。我々は共に乗客なのだ」