第277回「欧米の経済不安深刻化は愚かな日本を相対化」
大震災と福島原発事故の処理で四苦八苦している日本に、欧米発の経済不安が深刻な影を落として東京株式市場で株価は6日、年初来安値を更新しました。《外為・株式:欧州株が急落 ギリシャ国債利回り急上昇》(毎日新聞)は「5日の欧州株式市場は、域内の信用不安が拡大するとの警戒感が広がり、全面安の展開となった。ドイツやフランスの主要株式市場は一時、前週末比5%超も急落した。ドイツ銀行の首脳が『ユーロの財政危機は弱い銀行を破綻させる』との考えを示したことから、欧州の銀行への不安が拡大。主要銀行の株価は2年半ぶりの水準まで売り込まれた」と伝えました。愚図をやっている日本を、傍目で見ていた欧米が笑えない惨状です。
「財政赤字問題を抱え、欧州連合(EU)などから金融支援を受けているギリシャ国債が5日、欧州市場で売り込まれ、価格が急落(利回りは急上昇)した。指標となる10年物国債の利回りは一時、前週末終値より1・7%高い19・51%をつけ、ユーロ導入以来初めて19%台に乗せた」「ギリシャのベニゼロス財務相が、国内総生産(GDP)比の財政赤字を目標の7・6%に減らすことは困難と語り、ギリシャ再建の先行きに不透明感が高まったことがきっかけ。ギリシャの2年物国債の利回りは9%以上高い55%台を推移」とも報じました。
10年国債利率が2割に迫り、2年物国債利率55%とは冗談としか言いようがない世界です。サラ金どころか闇金融もいいところですが、国債への投資なのに元本が返ってくるのか判らない実態なのですから当たり前かも知れません。リスクヘッジの業を考えている投機家しか手を出さない「極限」の世界でしょう。下図のようにアイルランドやポルトガルの利率上昇も尋常ではありません。 この問題に関心がある方は小川英治・一橋大教授(国際金融)の《ユーロ安定へ「離脱ルール」》を参照されることをお勧めします(日経新聞の経済教室に8月末、掲載されたもので、上のグラフを引用)。ユーロ圏諸国とIMFの金融支援のほかに民間金融機関も債務削減に応じ「11年から20年にかけて満期を迎えるギリシャ国債(1350億ユーロ相当額)の債務リストラが実施される。現行の7.5年物国債を15年物国債および30年物国債へ交換することによるモラトリアム(償還期限の延長)と、国債交換の際の20%のヘアカット(債務元本の削減)が柱だ。同時に、ユーロ圏諸国61.43%の価格で買い上げるという債務削減も実施される」と関係国と機関は身を切ることになっています。
しかし、ユーロから離脱するルールが無い現状では、危機国が愚図愚図しても手の施しようがありません。統一通貨でなければ経済の実力に応じた為替レートの調整が出来たのに、現状では健全国が危機国を支援するしかありません。「ドイツのように健全財政にある国々の納税者は、自らの税金を使って、財政規律のない危機国を支援することには慎重である。そのため、11年末までに予定している欧州金融安定基金(EFSF)の拡充に必要とされる、ユーロ圏各国による批准が円滑に進むかどうかも懸念材料である」。さらに進めて、健全な離脱ルールを作るのも容易でありません。円高の要因にもなっているのだから困ったものです。
世界各国金融機関のギリシャ国債保有高は4月段階でドイツが263億ドル、フランスが198億ドル、イギリス32億ドル、イタリア26億ドル、アメリカ18億ドルとされています。独仏には相当な出血になり、《幸福度:財政危機あろうとも…ギリシャ人8割「幸せ」−−欧州の世論調査》(毎日新聞)のような調査結果を腹立たしく見ているはずです。「『私の人生は幸せだ』と答えた人の割合は、福祉国家デンマークが96%で1位だったが、2位はギリシャ(80%)」「逆に欧州一の経済大国ドイツは61%と下から3番目。生活水準の高さとは逆に『悲観的』な姿が浮き彫り」だそうです。
「財政赤字問題を抱え、欧州連合(EU)などから金融支援を受けているギリシャ国債が5日、欧州市場で売り込まれ、価格が急落(利回りは急上昇)した。指標となる10年物国債の利回りは一時、前週末終値より1・7%高い19・51%をつけ、ユーロ導入以来初めて19%台に乗せた」「ギリシャのベニゼロス財務相が、国内総生産(GDP)比の財政赤字を目標の7・6%に減らすことは困難と語り、ギリシャ再建の先行きに不透明感が高まったことがきっかけ。ギリシャの2年物国債の利回りは9%以上高い55%台を推移」とも報じました。
10年国債利率が2割に迫り、2年物国債利率55%とは冗談としか言いようがない世界です。サラ金どころか闇金融もいいところですが、国債への投資なのに元本が返ってくるのか判らない実態なのですから当たり前かも知れません。リスクヘッジの業を考えている投機家しか手を出さない「極限」の世界でしょう。下図のようにアイルランドやポルトガルの利率上昇も尋常ではありません。 この問題に関心がある方は小川英治・一橋大教授(国際金融)の《ユーロ安定へ「離脱ルール」》を参照されることをお勧めします(日経新聞の経済教室に8月末、掲載されたもので、上のグラフを引用)。ユーロ圏諸国とIMFの金融支援のほかに民間金融機関も債務削減に応じ「11年から20年にかけて満期を迎えるギリシャ国債(1350億ユーロ相当額)の債務リストラが実施される。現行の7.5年物国債を15年物国債および30年物国債へ交換することによるモラトリアム(償還期限の延長)と、国債交換の際の20%のヘアカット(債務元本の削減)が柱だ。同時に、ユーロ圏諸国61.43%の価格で買い上げるという債務削減も実施される」と関係国と機関は身を切ることになっています。
しかし、ユーロから離脱するルールが無い現状では、危機国が愚図愚図しても手の施しようがありません。統一通貨でなければ経済の実力に応じた為替レートの調整が出来たのに、現状では健全国が危機国を支援するしかありません。「ドイツのように健全財政にある国々の納税者は、自らの税金を使って、財政規律のない危機国を支援することには慎重である。そのため、11年末までに予定している欧州金融安定基金(EFSF)の拡充に必要とされる、ユーロ圏各国による批准が円滑に進むかどうかも懸念材料である」。さらに進めて、健全な離脱ルールを作るのも容易でありません。円高の要因にもなっているのだから困ったものです。
世界各国金融機関のギリシャ国債保有高は4月段階でドイツが263億ドル、フランスが198億ドル、イギリス32億ドル、イタリア26億ドル、アメリカ18億ドルとされています。独仏には相当な出血になり、《幸福度:財政危機あろうとも…ギリシャ人8割「幸せ」−−欧州の世論調査》(毎日新聞)のような調査結果を腹立たしく見ているはずです。「『私の人生は幸せだ』と答えた人の割合は、福祉国家デンマークが96%で1位だったが、2位はギリシャ(80%)」「逆に欧州一の経済大国ドイツは61%と下から3番目。生活水準の高さとは逆に『悲観的』な姿が浮き彫り」だそうです。