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第279回「放射能除染は難事業、専門部隊の多数編成を」 (2011/09/18)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 福島原発事故での緊急時避難準備区域が間もなく解除されそうです。これを前提に川内村が全村帰還のための復旧計画を打ち出していますが、放射能除染の道筋が未だに見えません。政府は今年度予備費で面倒を見るとしているものの、結局は自治体・住民に丸投げされかねません。南相馬市での試行報告を読むと、線量測定機器や高圧洗浄機、重機、輸送車両などを備えた専門部隊を多数編成して取り組むべき難事業に見えます。

 JMMウェブサイトにある「よつば保育園の除染結果報告」はホットスポットを漏らさず発見する線量測定だけで2日間をかけています。「屋内ではそれぞれの部屋の中央、およびその窓際、廊下や玄関前など、計55ポイント、屋外では東西南北それぞれの壁周辺、園庭、屋根、雨樋を合わせて約100ポイントで測定した。それぞれのポイントで5cm、 1m、 2mの高さで空間線量を測定している。合計で400回程度、測定。除染前後の測定を合わせると800回程度の測定を行った」

 「表土を剥ぐには5cmといわれているが、実際には砂質によってどの程度剥ぐべきかを細かく考える必要があった。滑り台の下や、ブランコの下などくぼみの部分にはより多く放射性物質がたまっているため、やや深めに掘る必要がある。砂質も問題で、砂場は水などしみ込みやすいため、深めに掘らないと線量の低減はみられなかった。一旦5cm大まかに剥いでから、再度測定し直し、高い場所を細かく掘り直すやり方が功を奏した。園庭では平均0.78μSV/hから0.33μSV/h(−58%)へと線量の低下がみられた」

 0.78μSV/hは放射線管理区域に指定されてしまう線量です。0.33μSV/hならやむを得ないと考えるところなのでしょう。「川内村の線量マップ」を見ると、今回指定解除される20〜30キロ圏でも1μSV/hを超える場所が多数あります。除染でどこまで下がるのか見通せません。

 「南相馬で、自宅に帰ってくる赤ちゃんのために除染体験した話」(BigBang)は作業の大変さをリポートしています。「何が手強いって、庭の砂利は土嚢につめるとずっしりと重い。表土は5cmくらい剥がないと0.3μSV/h近くにはならないことがわかっているのだが、これが土が固い。固い。固い。進まない。進まない。屈強の猛者たちの顔から次第に余裕が消えていく。その様子を見ていて僕も余裕が消えていく」

 はぎ取った土を土嚢に詰めて「この日の終わりまでに350Kg積みの軽トラック2台は、仮置き場との間を往復すること、数えてなかったけどおそらく10往復はした? 1回の往復で30分はかかる。目的の仮置き場に着いたら今度は土をおろす作業がある。なわけで軽トラチームは1日中、土嚢をひたすら運んでいるから、表土はぎはできない」

 結局、新たなボランティアの応援も得て1日がかりで住宅1軒の表土はぎを終わっています。機械力も備えた部隊でないと効率的な仕事にならないようです。解除になる緊急時避難準備区域だけでも避難住民の帰還には膨大な除染作業が求められます。住民の安心のためにも、専門的な組織が系統的かつ網羅的に進めるべき仕事です。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー

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