第285回「日本の世界人口シェア、江戸中期3.9%が最高」

 世界人口が70億人に達します。《「70億人目」認定、31日生まれ全員に 国連人口基金》(朝日新聞)で「70億人目の赤ちゃんたち」認定証がもらえると伝えられるなど、お祝いムードです。人口減少に転じてしまったに日本はこれから影が薄くなっていく一方でしょうが、日本人口の世界人口に占めるシェアはいつが最高だったのかと疑問が湧いて調べてみました。結論は江戸中期3.9%です。

 「図録▽人口の超長期推移(縄文時代から2100年まで)」(社会実情データ図録)で描かれた日本人口の推移グラフを、「70億人目前、人類はいつからどのように増加してきたのか」(GIGAZINE)の世界人口推移グラフで割り算してみようと考えました。全く違う用途で描かれたモノですから、年代もぴたりとは合いません。しかし、1900年以前は人口推計自体が幅がありますから大きく誤ることはないでしょう。「国勢調査」やウィキペディアの「世界人口」からも欠けた所を補いました。  西暦元年のころ、日本は弥生時代推計59万人、世界は3億人からスタートしたのが、上の一覧とグラフです。西にローマ帝国、東は漢王朝の時代ですから本当に比べものにならないシェア0.2%、ちっぽけな存在でした。それから1200年、律令制国家から鎌倉時代の684万人への成長は、世界人口の伸びを大きく上回って進み、シェア1.5%。そして江戸時代に入った初期は1227万人なのに、八代将軍吉宗のころに3000万人台に達します。シェア3.9%のピークです。その後、幕末まで人口はほぼ横這いで推移するのが江戸期の特徴で、倍増する世界人口に置いて行かれます。明治維新が起きて富国強兵策に転じて以降は、人口も急増しました。しかし、戦後ベビーブーム期の1950年、シェア3.3%でも江戸中期に及びません。現在は人口1億3千万人の手前で頭打ちになっており、シェア1.9%。2050年の推計では1億を割って9515万人、世界人口の1%にまで下がってしまいます。

 70億人時代を迎えて出された「世界人口白書2011」は、色々な資源が人口増に追い付いていかない将来の大変さを考えさせる記述で満ちています。日本の人口減は国内市場規模や活力の低下には響きますが、急増する途上国に席を空けてあげる意味では悪いことではありません。現在でも欧州では8230万人のドイツを除き、6千万人台の英国、フランス、イタリアは世界人口シェア1%を切っています。