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第287回「福島原発から海へのセシウム流出が再発生か」 (2011/11/12)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 福島原発事故による魚類汚染で《恐れていたことが現実に 魚介類のセシウム汚染 日に日に上昇》(ゲンダイネット)が話題になっています。しかし、水産庁のデータを詳しく見ていくと、魚類汚染は夏にいったんは収まったのに10月以降、再拡大する傾向であり、原発から海への放射性セシウム流出が再び起きていると考えるべきでしょう。

 「10月初旬ころまでに公表されたセシウムの値は、国の規制値(1キロ当たり500ベクレル)に達しない魚介類がほとんどだったが、中旬ごろから、規制値をオーバーする検体が徐々に出始めた。例えば、19日公表の福島沖の『コモンカスベ』は、国の規制値の2倍を超える1280ベクレルを検出。26日公表の福島沖の『シロメバル』は、ナント、2400ベクレルだった」。さらに11月に入り1000ベクレル以上の魚が続出しています。

 福島沖を中心にした水産庁の「水産物の放射性物質調査の結果について」にあるエクセルデータを加工してみました。魚種別に分類し直し、公表日付順に並べました。事故直後からよく採取されている底魚のヒラメとアイナメ、それに表層を泳ぐカツオについてグラフにし以下に掲げます。



 いずれも7月頃のピークが注目です。食物連鎖による生物濃縮に3、4カ月の時間が必要だったとみられます。7月20日、いわき市久之浜沖のアイナメが3000ベクレルと恐ろしい値を記録するものの、規制値を超えていたヒラメも8月、9月と下がっていきます。ところが、アイナメもヒラメも9月に突然、1600ベクレル前後の大きな値を記録、10月に入って反転し、増加傾向に転じます。ゲンダイネットの記事は最後の部分だけを捉えています。原発事故直後の流出セシウムは海洋での拡散、希釈で一度薄まり、また新たな生物濃縮が進行しているのでしょう。原因として考えられるのは原発からの再流出です。「福島原発の地下水、流入があれば汚染水流出も」で指摘したように、原発建屋地下の汚染水と地下水は出入り自由になっているのです。

 海の表層にいるカツオの汚染も気になります。多くは10ベクレル台とレベルは低いものの、回遊魚ですから漁を止めている福島沖にとどまらず、太平洋側各地に広がっていくはずです。表層の状態は希釈が進んで安定しているのか、一定の汚染レベルが持続しそうです。

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