原発ストレステストに専門家から当然の批判続出 [BM時評]

 停止中の原発を運転再開させるか判断する材料として導入されたストレステスト(耐性評価)に専門家から批判が続出したと、主要紙が伝えました。原発の安全を担保してきた安全審査指針が福島原発事故で崩壊したのに、それに手をつけずに別基準で安全を担保しようとするのですから、これまで原発に携わってきた専門家が納得できるはずがありません。まさしく「原発運転再開:安全指針の担保外す政府こそ違法」なのです。

 経済産業省原子力安全・保安院はストレステストについて専門家の意見聴取会を14日に初めて開きました。朝日新聞の《国がストレステストの審査開始 専門家から批判相次ぐ》は「聴取会委員の井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)は『不備があった安全審査を見直さないまま、テストを安全性の判断に使うのは理解できない』と指摘。テスト以前に、耐震設計への安全評価の見直しや、老朽化した原発の運転をどうするかを再検討すべきだとした」と報じました。

 また、テストは2段階で、まず再稼動させるための1次評価をし、その後に厳しい条件の2次評価をすることになっています。「この点でも井野委員は『すぐに全原発を停止して、2次検査をするべきだ』と批判した。岡本孝司・東大教授(原子力工学)も『安全の本質を確認する2次評価を先にやるべきだ』と訴えた」と批判が相次いで、この日に予定されていた関電大飯原発3号機の1次評価報告書の検討には入れませんでした。

 また毎日新聞は《ストレステスト:評価手法に疑問−−有識者会合》で「出席者からは『ストレステストの有効性を検証する上でも、事故が起きた東京電力福島第1原発を対象にストレステストを実施すべきだ』など、評価の手法などに疑問や注文が相次いだ」と伝えています。

 別の角度からの異論も出ています。地震や津波など自然現象を想定するだけでは不十分で、航空機の衝突や船舶の座礁、さらにテロによる破壊活動なども考えるべきだとされました。