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20mSvで居住可の無茶を何年も続けて良いのか [BM時評] (2012/04/25)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 政府は22日の「双葉地方町村と国との意見交換会」で福島原発事故での汚染状況を、20年後までの年間空間線量率予測図として公表しました。メディアは20年後も高汚染地域が残る点を主に報道しましたが、現行法の放射線管理区域に比べ4倍も高い20ミリシーベルトを居住可能としている無茶を、5年、10年と続けて良いのか、大いに疑問です。当座の緊急避難措置が終わったら、厳格に管理されている放射線管理区域(3カ月で1.3ミリシーベルト)以下の地域を居住推奨とすべきでしょう。

 毎日新聞の「放射性物質:高線量域20年後も 政府、初の予測地図公表」は「原発が立地する大熊町と双葉町の境界付近では20年後でも居住が原則制限される帰還困難区域(年間被ばく線量50ミリシーベルト超)が、両町に加えて浪江町、葛尾村では居住制限区域(同50ミリシーベルト以下20ミリシーベルト超)が残る」と伝えています。

 「資料3 空間線量率の予測」から現状と5年後の予測地図を引用します。



 政府が年間20ミリシーベルトまで居住可能としているのは、ICRP(国際放射線防護委員会)が示した範囲「事故からの復旧時は1〜20ミリシーベルト」の上限を選んでいるためです。しかし、20ミリシーベルトに5年住み続ければ100ミリシーベルトに達し、生涯の被曝はここまでに抑えたい限度になってしまいます。また、放射線管理区域との矛盾も無視できません。上の地図で水色以上の地域は、本来は放射線管理区域として扱わねばならない汚染度なのです。放射線管理区域では飲食は禁止ですし、業務が済めば速やかに退出しなければなりません。そこに住んで食事をし寝ているというのは、現行法の精神からとんでもなく逸脱しています。

 例えば地図中央上部の飯舘村は5年後には20ミリシーベルト以上の黄色地域が大幅に減りますが、村全体が依然として放射線管理区域に指定されるレベルです。どうしても元の場所に住みたいと希望する人はともかく、一般の方に「お帰りください」と勧めることは法治国家として出来ないはずです。

 福島原発事故の発生以来、場当たりの緊急避難ばかり繰り返してきた政府も1年が経過したのですから、現行法と整合するようにソフトランディングを図るべきです。放射線管理区域レベル以下を居住推奨と定義し直せば、住むことが勧められない地域は広く、避難した住民に提供する将来の選択肢を拡充して、見切って新天地を目指す人を支援しなければなりません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー

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