包括的な原発対処には全電力国有化しかない [BM時評]

 現存する原発50基が5日に止まりました。メディア各社世論調査で原発再稼働反対が賛成を圧倒している以上、「地元自治体の説得」といった局地的対応をしてきた野田政権には早期の再稼働に向けた布石が出来ていません。いや、問題の核心は再稼働ではなく、福島第一を含めてあちこちの原発を廃炉にしつつも電力供給をし、経済運営をしていく条件整備です。包括的対処には日本原電を含めた全電力会社の国有化しかないと指摘しておきます。

 大型連休を前に出された東電の事業計画にはあきれました。実質国有化されても電気料金値上げで収益を改善、廃炉費用など足りなくなれば、また国に支援を要請する枠込みです。東電だけを見ているから、このような愚かな計画が生まれるのです。東電の言いなりに電気料金を上げれば、国内で著しい料金負担の格差が生まれます。企業によっては工場を移転したいと考えるでしょう。

 どう考えても再稼働は無理な廃炉候補には運転30年を超える炉や、活断層上の原電敦賀などいくつもあります。それが浮上するたびに廃炉費用を電気料金に転嫁して、国内各地で凸凹の電気料金を実施していくのでしょうか。国内経済の運営上、狂気の沙汰に見えます。

 福島第一原発事故の始末で未だに忘れられている重大事があります。事故に結びついた安全審査の欠陥は国に帰せられ、責任の半分は国にあるのです。民主党政権はもう気付いて、責任に応じた対処に転じなければなりません。巨額資金を投じた原発本体と核燃料を諦め、核燃サイクルの始末をする事態に至った責任も、半分以上は国にあります。各電力会社に任せられるはずがありません。

 長期的、国家的視点に立ってこれから必要な資金計画を練る必要があります。国民が電気料金として負担できる分と、税金から投入する部分とを決め、全電力国有化によって負担を全国にならさねばなりません。現在のような上場企業のままで株主から賛成を得ることは不可能です。

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