第308回「政党支持率4割連合が決める政治に正統性無し」

 消費税増税と社会保障改革を巡る民主・自民・公明の3党合意がなったことに全国紙は各紙社説で賛同です。長年の「決められない政治」から「決める政治」へとの評価ですが、政党支持率の推移を見ればこの3党が民意を代表していないことは明らかです。3党合計が、次にグラフを掲げるNHK政治意識月例調査で4割、「民主8%、最低を更新=内閣支持24%、不支持55%−時事世論調査」にいたっては民主8、自民13、公明4で計25%しかありません。国会の現有議席がどうあれ正統性を欠くと指摘します。  NHK政治意識月例調査では、政党支持率の3党合計は5割を軽く超えて6割前後が常態でした。2010年半ば、鳩山内閣退陣前後に41%台まで急降下、菅首相で持ち直したものの退陣時には40%に下がりました。野田政権になって本格的な回復はなく、消費増税路線が強まった昨年12月に38%になってから4割前後に低迷したままです。原因は民主党政権の不人気だけではありません。過去のように民主が沈めば自民が浮くのではなく、自民党もいっしょに沈んでいます。

 2009年総選挙で何が語られたか、有権者は当然、記憶しています。増税問題を含めて民主党の背信行為の数々に厳しくならざるを得ません。3党による増税協議が有権者の政治不信をさらに強める構造になっています。公党間で政策を妥協し合うというより、民主党がずるずると総選挙公約を下ろし続ける形で協議は進みます。このまま進行すれば、初の本格政権交代で残されたのは消費税増税だけだった――想像もしたくない、空しい事態が目に見えるところまで来ています。

 譲歩を迫り攻める側の自公両党にも有利には働きません。持っている政策がもうこりごりと思える自公政権時代と本質的に変わりません。野に下ってから2年余り、本格的に政策を磨き直す時間は十分にあったのですが、そうする動機もやる気も無かったと、有権者は見透かしています。復調からは遠い自民の政党支持率推移がそれを語っていると思います。

 【参照】第294回「沈鬱な政治不信の連鎖:国民と政治家と官僚と」
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