第329回「国の巨額支援でなく東電の国有化と電力改革を」 (2012/11/08)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 東京電力が7日に発表した国への巨額支援要請は、再建の枠組みを決めた「総合特別事業計画」が早くも破綻していると社外取締役らが認めた点に問題の本質があります。政府の責任逃れも含めて無理矢理作った計画を維持するのではなく、この機会に根本的な解決を志向するしかありません。それには東電の国有化と解体です。福島原発事故の財政的な始末を付けるために、他の電力会社にも及ぶ電力改革の開始です。

 毎日新聞の「東京電力:国に支援要請 中期経営方針を発表」は《福島第1原発事故の賠償や除染、廃炉の費用が今後、10兆円を上回る可能性があると強調。下河辺和彦会長らは国に対し新たな支援策を要請した上で、再建の大枠を定めた「総合特別事業計画」を来春にも改定する方針を示した》《社外取締役ら7人の共同記者会見では「(事故対策費用が膨らむなどし)総合計画の前提が崩れつつある」(数土文夫JFEホールディングス相談役)などの懸念を表明》と伝えました。

 もともとの枠組みが間違っています。政府は福島原発事故の収束と廃炉を東電の責任とし、発生した除染費用も立て替えた後で東電に請求するとしています。事業者責任を問う法律の建前と東電前経営陣の企業存続希望によって現在の枠組みが出来ました。しかし、1兆円を投入した「実質国有化」後、百日を経過して第三者が冷静に見れば、全く展望が無いと知ったに過ぎません。東電がこうした費用を負担し続けるならば、原資は東電管内の電気料金です。東電管内だけが止めどなく高い電気料金になっていき、国内経済が歪みます。

 翻って考えれば、福島第一原発の安全審査をしてゴーサインを出したのは政府です。事故の責任は国が東電と折半するべきです。ところが政府は事故の責任明確化を避けるばかりでなく、費用の政府負担にも口をつぐんできました。現実を直視しないために、「実質国有化」が行われたのです。

 もう虚飾は結構です。税金を含めて福島原発事故始末で負担できる、合理的な枠組みを確定しなければなりません。除染に膨大な費用が投じられようとしていますが、住民の多数は放射能不安から戻るつもりはありません。それならば長期に渡って放棄する地域を設定して、住民に新天地で新たな生活をして貰う方が安心できるし、遙かに安く済みます。河北新報が伝える《福島避難者、「20年度にゼロ」 県、総合計画に明記へ》のような自治体の錯誤に全国民が付き合う必要はありません。元に戻らないものは戻らないのです。

 国民の理解を得て税金を投入するには、東電がこれまで不当に得た膨大な利益を全て返す必要があります。送電と発電を分離して原価構造を公開し、事故処理費用の上乗せに理解を得なければなりません。東電の本当の国有化と解体をすべきです。電気料金の国内バランスを取るために、他の電力にも負担をならすべきです。国民の理解を得るためにも、電気料金の透明化は避けられません。送電と発電の分離は他電力も巻き込んで全国規模で進めるしかありません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー

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