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第351回「北京市が環境汚染3年以内改善にようやく本気」 (2013/03/29)

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(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 北京市が28日に環境改善プロジェクトの動員大会を開き、3年以内に大気汚染、河川汚水、ゴミ問題などの解決を誓ったそう。深刻な大気汚染を前に「北京五輪は青空」の時代錯誤から抜け、ようやく本気の構えです。プロジェクト執行と生態環境保護に関する責任追及をすると明言しているのが注目です。また、これまでは工場などから汚染物質放出が見つかっても罰金を払う方が浄化装置を稼働させるより安かったのが、罰金上限を撤廃する法改正が予定されるなど重篤スモッグ汚染改善へ実効が期待できる動きが出ています。もちろん、本格的に実施すれば経済成長に大ブレーキがかかるのは必至です。

 レコードチャイナの《大気汚染を3年以内に解決、北京市が誓約―中国》が新京報の報道としてこう伝えました。《北京市の郭金竜(グゥオ・ジンロン)書記は同大会で、「社会の力を総動員し、首都の生態文明建設を掘り下げて推進し、青い空、豊かな緑、きれいな水を北京に取り戻さなければならない」と強調。また、「現在、生態文明と都市・農村環境を建設する上で、いくつかの新たな局面に立たされている。過度の人口増加、自動車保有台数の急増、資源制約の深刻化など新たな問題が悪化しており、生態環境と公共インフラ・サービスの許容力はかなり厳しい状況に陥っている。また、多くの市民は、気象条件や北京の地理的条件など各種要因の影響による大気の品質や生態環境の問題に対して不満を抱いており、問題の大幅な改善を期待している」と指摘した》

 第348回「抜本策無しと露呈するばかりの中国環境汚染」で全国人民代表大会・全国政治協商会議の動きを集めていて、北京市当局の鈍感さには驚きました。2008年北京五輪で青空が実現した成功体験にまだ浸っていました。五輪期間中だけ工場・建設現場を止め、クルマの半数を使用停止にして乗り切ったのが実情です。全人代が閉会して10日余り、過去の成功体験では民衆を抑えられないと方向転換したと見えます。しかし、下に引用するPM2.5濃度分布地図(第350回「PM2.5汚染の全国実況表示が日中で動き出した」参照)が示すように、紫や赤表示の北京の大気汚染は内陸部と繋がっています。北京市だけで改善できるものではありません。


 環境改善プロジェクト動員大会に合わせて《北京市内を流れる「七色」の川、見るだけで吐き気=中国》(サーチナ)の報道もあります。「清河では異常に黒く濁った水が悪臭を放ちながら流れ、下水が川へ注ぐ排水口付近では水が黄色くなっていたと伝えた。また、涼水河では濃褐色の流れに乳白色の液体が流れ込んでいたこと、通恵河でも乳白色の液体が流れ、ナプキン、トイレットペーパーなどを含む生活ごみが漂っていたことを紹介した。そして、蕭太后河でも水面の色が青緑と白の混合色になり、両岸には生活ごみが堆積」と首都河川とは思えぬ惨状です。

 全国規模の法改正は人民網日本語版による《47都市で大気汚染物質の特別排出規制がスタート》で触れられています。《中国社会科学院都市発展・環境研究所の潘家華所長は「スモッグなどの緊急事態発生時に規制や操業停止を実施するだけでなく、通常時でも地域の大気環境容量に基づき、汚染物の排出量を制限することが非常に大切」としたほか、「特別排出規制値は法により保障される必要がある。現在改訂中の『大気汚染防治法』では、大気汚染事故の罰金上限が取り消される見込みだ。これにより、汚染物質規制に向けた企業の投資が促進され、企業の社会的責任の向上につながると見られる」と述べた》

 私の「インターネットで読み解く!」読者のケミカルエンジニアから中国で工場を作ろうとした経緯を伝えるメールをもらいました。《工場設立は止めになりましたが、その理由の一つは、「国営企業には汚染物質排出の枠が“無限”にあるのに、合弁企業にはほとんどなく、それも将来減らされる懸念がある」ということです》。地方政府と国営企業が結託して環境汚染を隠しているのが、これまでの中国経済大発展の裏側でした。法に基づいて市民が提訴しようにも裁判所が受け付けない実態は第346回「『がん村』放置は必然、圧殺する中国の環境司法」で描きました。1月の重篤スモッグ連日発生から2カ月半、メスを入れれば血が噴き出る場面が来つつありますが、本当にメスを入れる勇気があるでしょうか。

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