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第353回「高速炉もんじゅ稼働を絶望にする安全設備要求」 (2013/04/05)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 原子力規制委が高速増殖炉もんじゅに対して、軽水炉に準じた多層安全設備を要求する方針です。溶融して格納容器の底に落下した炉心の冷却などを求めており、液体ナトリウムを冷却材にする高速炉では絶望的です。福島原発事故を経験した後でも核燃料サイクル維持が言われますが、安全規制で実質的に不可能になりそうです。最終的に水を掛けて冷やす手段が取れないばかりか、炉心溶融で核分裂反応の暴走が起きうる恐怖を持つ、もんじゅ稼働はほぼ消えました。

 4月3日の原子力規制委に出された「高速増殖原型炉もんじゅに係る規則等の整備について」では重大事故への対応について、こう書かれています。「高速増殖炉については炉心溶融時に即発臨界の可能性があり、この発生を防止することが非常に重要であることから」「設計基準事故より更に発生頻度は低いが結果が重大であると想定される事象が発生しても、放射性物質の放出を抑制すること」「原子炉冷却材が減少した場合において、全ての原子炉停止機能が喪失した事象が発生しても、炉心の著しい損傷を防止すること」

 さらに特定安全施設に関する要求として「軽水炉に対し特定安全施設の整備が要求されたことを踏まえ、もんじゅに対しても、炉内の溶融炉心の冷却機能、格納容器下部に落下した溶融炉心の冷却機能、格納容器内雰囲気の冷却・減圧・放射性物質低減機能、格納容器の過圧破損防止機能等を維持するための対応を求める」としています。


 原子力研究開発機構の《「もんじゅ」のプラント情報》から引用した冷却系統図です。通常の原発と違い、高温の液体ナトリウムが冷却材として流れています。液体ナトリウムは漏れれば大気やコンクリート中の水と猛烈に反応して燃え上がります。事実上、唯一の安全設備として備える中央の「空気冷却器」は核分裂停止後の崩壊熱を大気中に放出する役割ですが、実際には機能が実証されていません。この2次系設備を使う以前の問題として、1次系が破綻したら冷やす手段などありません。炉心溶融して原子炉の底が破れる想定をしたらおしまいです。漏れだす液体ナトリウムがコンクリートに触れればまず燃えます。もちろん水をかけることはタブーです。ナトリウム受けに格納容器の底を鋼板で覆う対策をとっても、原子炉の底を溶かして落ちてくる溶融炉心まで受け止められるはずがありません。

 昨年9月の第317回「原発ゼロなのに核燃サイクル維持は思考停止の戯言」で野田政権末期の迷走に触れています。そこで「もんじゅは運転自体が恐怖なのです。福島原発事故のような想定外の事態が起きれば、軽水炉と違って最後は水を掛けて冷やす手段がとれません。さらに軽水炉は炉心溶融で核分裂反応が止まりますが、もんじゅの炉心溶融は核分裂反応を暴走させる可能性が高いのです。過酷事故を起こしてしまえば、福島原発周辺以上の惨状が関西一帯に生じます」と危惧しました。原子力規制委も真っ当な心配をされているようです。

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