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第368回「生涯未婚率は男35%、女27%にも:少子化対策無力」 (2013/06/26)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 少子化社会対策白書のあまりの覇気の無さに驚き、国勢調査から生涯未婚率を予測し直して男35%、女27%にもなる結果を得ました。非正規雇用は増えるばかりで、若者の生活を不安定にさせている根源は政府施策です。『安倍政権が嫌いな雇用安定こそ少子化対策の核心』で指摘した通りです。生涯未婚率は人口学で50歳時点の未婚率と定められています。2010年国勢調査で20代前半だった世代が50歳に到達する25年後には、現在に倍する生涯未婚者であふれる事態になります。

 NHKの《少子化白書 晩婚・晩産化進む》は《生涯未婚という人の割合は、平成22年には、▽男性が20.14%、▽女性が10.61%で、いずれも過去最高に達し、「未婚化」とともに一生結婚するつもりはないとする「非婚化」も進んでいると指摘し》《内閣府は「若い世代は雇用が不安定で、所得が低い傾向にあり、こうした経済的理由から結婚に踏み切れない人が増えているのではないか」と分析》と伝えました。

 50歳に到達した世代ではなく、現在の若い世代がなる生涯未婚率を合理的に予測することができます。2010年国勢調査で男性の20代前半世代は未婚率94%でした。次の5年間で未婚率がどれほど減るか、年上の20代後半世代が2005年国勢調査からの5年間で21.7ポイント減らしている実績を採用します。そのあとの5年間は30代前半世代の実績24.1ポイントを、さらに50歳まで年上世代がした脱未婚実績を積み上げると合計58.6ポイントですから、現在の「94」から引き算して残る「35.4」が予測される生涯未婚率になります。男女別、世代別に同じ計算をした結果「生涯未婚率の世代別予測」をグラフにしました。


 2010年の生涯未婚率は増えたと言っても男20.14%、女10.61%に過ぎません。30代後半世代が50歳に届く10年後には男女共に倍増する勢いであると知れます。現在、20歳前後の若い世代が50歳になるころには、男35.4%、女27%前後にもなってしまいます。この予測方法は過去の世代の実績をもとにしています。実際には過去実績ほどに「脱未婚=結婚」が進まない可能性が高いはずです。もっと高い生涯未婚率が実現されると見るべきでしょう。なお、2011年にも同様の予測計算をしましたが、国勢調査速報版によるものでした。確定版の数字がかなり変わったと知り、計算し直しました。

 少子化社会対策白書は緊急に対策をと訴えつつ、具体的に何を進めるのかピンときません。第1部「少子化対策の現状と課題について」「第1章 少子化の現状」の最後に自らはっきり問題点を書いているではありませんか。

 『我が国は、欧州諸国に比べて現金給付、現物給付を通じて家族政策全体の財政的な規模が小さいことが指摘されている。家族関係社会支出の対GDP比をみると、我が国は、0.96%(2009(平成21)年度)となっており、フランスやスウェーデンなどの欧州諸国と比べておよそ3分の1となっている』


 ここに添えられている合計特殊出生率の国際比較グラフも引用しました。人口維持に必要な出生率「2.1」に米英仏とスウェーデンが近づけているのに、2次大戦敗戦国の日独伊はそろって「1.4」前後と失格です。妙な自己責任主義では駄目です。人口を本当に維持したいなら、それなりに社会が面倒をみる、お金を掛けた強力な施策を打ち出すしかありません。女性手帳とか枝葉末節の議論をする暇があれば本筋の政策検討に移ってもらわねばなりません。

 【参照】インターネットで読み解く!「生涯未婚」関連エントリー

※関係エントリーの分野別入り口・・・《人口・歴史》 《政治・経済》




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