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第485回「朴大統領の訪米に止め刺した大病院の不始末」 (2015/06/10)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 中東呼吸器症候群(MERS)流行でも14日からの訪米はするとしていた韓国の朴大統領が突然中止を発表しました。最高レベルの大病院サムスンソウル病院で最大の3次感染があり、勢いが止まらないからでしょう。10日に患者数は百人突破して108人、死者9人に増えました。9日の新患者数がわずかに減ったことを根拠に「今週中に収束見込み」としていた保健当局のファンタジーは打ち砕かれました。香港は9日、全ての韓国ツアー中止です。

 サムスンソウル病院での感染による患者数は7日までに17人いて、8日に17人も発生しましたが、9日には新規は3人になりました。「発生の峠は過ぎた」と見た大統領府は訪米に強気だったのですが、10日に10人の新患者が出て、一夜明けて方針転換せざるを得なくなりました。

 9日までのデータをもとに医療専門家に聞いた中央日報の《<MERS>今後の運命、2日後に決まる=韓国》が「サムスンソウル病院の接触者の潜伏期がほぼ終わる今週金曜日まで多数の患者が出てこなければ、小康局面につながる可能性がある」という安心寄り見解と、「今週が過ぎればサムスンソウル病院の感染者が出てこないというのが防疫当局の考えだが、それはその病院の応急室にいた人が防疫レーダー網にすべて入っている場合だ。不幸にも他の病院でも患者が出ている状況では決して安心できない」との不安な見方を伝えています。

 韓国最高レベルと言われる医療機関、サムスンソウル病院のミスは、先月27日に救急車で運ばれた患者を単なる肺炎患者と考えて3日間も通常の病室に収容し、感染を広げてしまった点です。この3次感染で発生した患者は既に47人で、患者全体の44%にもなりました。4次感染の確認例はまだ無いものの、ウイルスに暴露した可能性がある患者と職員は2000人に達すると見られ、病院側は隔離と監視に必死です。

 先日の第484回「韓国MERS危機は共同体の安全を考えぬ国民性から」で取り上げた1565人が集まった屋内集会に参加した感染医師も、このサムスンソウル病院の医師です。彼が隔離対象から外れていたのは、3次感染のもとになった患者との接触が軽いと考えられたからです。不手際は二重三重に重なっていて完全に感染の範囲を網羅できているか疑問があります。

 韓国の患者には診断が確定するまであちこちの医療機関を「はしご」する習慣があります。発熱などの症状を持ったままですから、MERSのような場合は危険極まりないのです。「はしご」した病院での感染が伝え続けられており、隔離対象の完全な把握は大変です。

 朝鮮日報は社説《無責任な韓国社会が招いたMERS感染拡大》で《MERSの感染拡大がここまで拡大した第一の責任は、当初からずさんな対応を続けた韓国政府にあるのは間違いない。ただその一方で、自らが伝染病を広める恐れがあるにもかかわらず、あまりにも軽々しい行動を取る個人にも大きな責任があると言わざるを得ない》と認めています。《韓国社会には法律やルールを「自分ではなく他人が守るもの」という意識が広くまん延している》と嘆きます。

 大病院から個人の患者まで守るべき、するべき規範を外れているからの流行と言わざるを得ません。香港政府は韓国に対して渡航安全情報で2番目に重い「赤色警報」を出し、香港旅行業協会が9日、全ての韓国ツアーを中止したと報じられました。

 【6/13続編】第486回「一気に噴き出した韓国当局管理外のMERS感染」


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