第519回「2016年はタブレットがパソコンを逆転する年に」

 円安による部品代上昇などが響いてパソコンの国内出荷が2015年に急減し、2016年中にタブレットがパソコンを逆転しそうになっています。円安の特殊要因で世界全体より一足早くタブレット優位実現の雲行きです。個人的にも仕事をする時はやはりパソコンながら、インターネットを軽くブラウズする用途や読書用の端末、動画の視聴などに使うなら常時オンになっているタブレットが便利です。現在の2代目タブレットの次候補は考えつつありますが、デスクトップパソコン更新は当分は無いと思っています。MM総研の調査による国内出荷推移をグラフにしました。  プレスリリース《2015年国内タブレット端末出荷概況》と同《2015年国内パソコン出荷概要》が元のデータです。

 2015年の《国内パソコン市場の総出荷台数は前年比31.9%減の1,016.5万台》、《Windows XP機入れ替え特需の反動に加え、円安による部品代等の原価上昇がパソコン本体価格の値上げにつながり、大幅な減少となった。値上げの影響を受け、単価は8万5,962円と5年ぶりに8万円台に上昇した》。一方でタブレットは《総出荷台数は前年比8.4%増の943万台となり、出荷統計開始以来5年連続の成長》でした。今後も持続的拡大要因として《一般消費者向けは(1)キャリアのタブレット販売施策の強化 (2)MVNOサービスとの相乗効果によるSIMフリータブレットの増加があげられる。また、法人市場では(1)Windowsタブレットの拡大 (2)会員向けサービスや教育・高齢層など特定ターゲット向けB2B2Cモデルによる裾野の広がりが期待される》とされています。

 もともとタブレットは2015年にも1000万台突破が期待されていたので、2016年もこれまでの勢いが続けば933万台と予測されているパソコン出荷を軽く上回るでしょう。2010年初め、アップルiPad発売を前に『本当にタブレット型PCの年になった』を書きました。最初はかなり高価でしたが、いま持っているアンドロイド2代目タブレットは2万円台なのに必要な機能は満たしています。5年間で恐ろしく進化しており、ハードウエアのスペックよりも、どんなソフトが使えて何が出来るかが重要になりました。

 世界の動向は《日本と世界のPC市場〜東芝・富士通・VAIOでPC事業統合はあるのか?》で紹介されています。《IDCは2016年1月12日に2015年の世界パソコン出荷台数は2億7,620万台で、前年実績から10.4%も減少したことを明らかにした》《2014年通年での世界でのタブレット出荷台数は前年比4.4%増の2億2,960万台だった。PCの年間出荷台数が3億863万台であることを考えると、タブレットの出荷台数もPCに迫っていることがわかる》

 今月もう一つ、パソコンとタブレットの利用にに関する話題が提供されました。《日本はPC利用が中心の国であることが判明/各国で変わるメディア消費【カンタ―・ジャパン調査】》です。世界のモバイル・タブレットでのネット接続状況を50カ国で調べると、日本は飛び抜けて低く、依然としてパソコンからのネット接続が主流の国でした。日本に続くのはフィンランド、チェコ、ウクライナ、カナダなどで、米国や西欧はモバイル・タブレットでの接続とパソコン接続が半々という状況でした。

 私がいわゆるガラケーを使い続けている理由はスマートフォンの画面が小さすぎるからで、8インチのタブレットだと眼がとても楽です。年上の方でもタブレットの大画面なら楽に扱えますから、今年、国内でタブレット優位が確立すればパソコンからの乗り換えが加速するでしょう。気軽に外出時に持ち出せる点で、手持ちのノートパソコン2台は顔色無しの状態です。8インチタブレットが入る大型ポケットを持つベストを見つけたので、旅行やハイキングの際にはそこに突っ込んでグーグルマップをナビに使い、携帯用音楽プレーヤにしています。