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第544回「東アジア諸国の生産年齢人口が減少に転じる」 (2016/12/13)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 韓国の生産年齢人口(15〜64歳)が2017年から減少に転じると発表されました。東アジア諸国では日本が1995年にピーク、次いで中国が2011年、台湾が2015年に最高を記録して減り始めており、4カ国そろって下り坂に入りました。減り方が急速なのも共通しています。社会の急な高齢化を反映しており、この機会にアジア諸国と欧米主要国について、現役世代である生産年齢人口に対する65歳以上の高齢者人口の割合を示す老年人口指数を国連推計で2050年までグラフにしてみました。少子高齢化、女性の社会進出による非婚化を抱えたアジア工業国は2015年に大きな曲がり角にある点が明瞭になりました。

 20世紀は欧米より老年人口指数が低かった日本が1995年以降、猛烈なカーブで上昇していきました。このカーブと同じ勢いで2015年から韓国とシンガポールが急上昇します。いや、踊り場がある日本に比べて一直線の上昇ぶりで、2050年には日本の近くに迫ります。タイもそれに近い勢いです。2050年の指数を並べると、日本70.9%、韓国65.8%、シンガポール61.6%、タイ52.5%です。

 中国は46.7%に留まっているものの、実は実態を表していません。中国は都市部の退職年齢が男性60歳、女性50歳(管理職は55歳)で日本よりも若いため60歳以上が年金対象になっています。中国社会科学院人口・労働経済研究所の2015年末の発表によると、2050年時点で15〜59歳人口に対する60歳以上人口の割合は75%にもなり、日本以上なのです。退職年齢の引き上げは大きな課題ですが、この超不人気政策を実行するのは国情から至難です。

 50%は現役2人で高齢者1人を支えるラインです。日本は2025年に突破です。中国が退職年齢を引き上げられなければ2035年には軽く突破の勢いです。修羅場はそんなに遠い未来ではありません。第482回「国家のエゴが歪ませた中国年金制度は大火薬庫」で「中国メディアの報道では2030年ごろに制度崩壊しかねないとされますが、現状でもボロボロと申し上げて良いでしょう。このままなら都市部労働者の半分は無年金で老後を迎えるしかありませんし、農村部で新たに始まった年金制度は月額で千円もなく社会保障になりません」と指摘した実態があります。

 先進国で米英仏は人口を維持、または増やしていくので50%を超えない落ち着いた状況です。ドイツだけはアジア工業国のグループに入っていますが、第497回「先進国で人口減少は日本だけに、独は難民受容」で紹介した難民大量受容が順調に進めば状況が変わってきます。アジアでもマレーシア、インドネシア、インドは2050年でも現役4〜5人で高齢者1人を支える水準です。

 朝鮮日報の《「3763万人」韓国の生産年齢人口は今年がピーク、来年から減少》は《活発に経済活動を行う生産年齢人口(15−64歳)は今年の3763万人をピークに来年から減少する。20年以降は毎年30万人ずつ急減し、65年には2062万人に減る見通しだ》と急速な変化を伝えます。社会が急速に老いていくのを放置できないと警鐘を鳴らす社説などが韓国で増えています。

 また大和総研グループの《中国経済 生産年齢人口急減への対応》も《中国社会科学院人口・労働経済研究所が2015年12月に発表した「人口と労働緑書−中国人口と労働問題報告No16」(主編:蔡ホウ、張車偉)によると、中国の生産年齢(15歳〜59歳)人口は2011年の9.41億人をピークに減少し、2023年には9億人以下に、2050年には6.51億人に急減するとしている。生産年齢人口が全人口に占める割合は7割弱から5割に急低下する計算である》と伝えています。

 実際に中国で2011年以降、生産年齢人口(15〜59歳)が毎年500万人ほども減っ行きました。現役が減り、年金を受ける世代が毎年大量に増えていくわけですから「富む前に老いる」不安が現実化しています。日本も現役2人で高齢者1人を支える状況になる前に国家百年の計を真剣に考えるべきです。2045年には現役1.5人で高齢者1人を支える窮状になるのですから。

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