第617回「日韓泥沼化の現場:反日政権を庶民は見透かす」

 韓国のホワイト国排除で日韓関係は未知の次元に入りました。1カ月ウオッチして日韓メディアは必ずしも実情を伝えていないと感じます。政権について「言葉は天下無敵、行動は天下無能」と評す韓国民が的を射てます。日本政府による経済制裁を全く予想していなかったばかりか、3品目輸出規制が始まりホワイト国排除が予告されても、日本側の言葉尻をとらえて言い返すだけ、幼児が泣き叫ぶように要求するだけが外交と考え、交渉相手の内情を分析しての対策も用意できません。これで日本に報復するとの朝鮮日報記事に付いたコメントが上記です。「日本に負けない」と大統領が叫んでも国民に臥薪嘗胆を求めるだけで当面の具体策はなく、外資逃避でウォン安が急激に進んで通貨危機が迫る勢いなのに注意が足りなく見えます。

 ◇貿易障害より通貨危機として表面化か  輸出規制はまだ禁輸措置とかに至っていません。優遇措置が無い中国やインドのようにきちんとした書類を出して経済産業省の輸出審査に応じなさいと言っているだけです。韓国内でも今後どう推移するか冷静に見なさいとする有識者がいますが、これまで日本から頑とした拒絶を受けた経験が無い韓国は集団ヒステリー状態です。この動揺は経済指標としていち早く現れ、上に掲げたウォン・ドル為替相場グラフで示すように、7月1日の対韓輸出規制から8月2日のホワイト国排除までに、すでに4%もウォンが下がりました。

 これは1ドルあたりのウォン相場を表示しているので数値が大きくなるほどウォン安です。2日深夜に「1204ウォン」をつけ、これまで防衛ラインと言われていた「1200」を突破されました。朝鮮日報の《域外市場でウォン・ドル為替レート1200ウォン》(韓国語)はこう言います。

 《ソウル外国為替市場でも5日月曜、1200ウォンが破られる可能性が高いと思われる。2日は外国為替当局の強い介入があっても終盤まで上昇した。7カ月ぶりに2000の防衛ラインが崩壊したコスピ株式相場もしばらく安くなると予想され、外国人が株から資金を引き上げると(ドル換金で)さらに為替安になる》

 韓国は1997年と2008〜2009年に通貨危機を起こしています。1ドル=1500ウォンを突破した後者では、日米などから巨額通貨スワップの助けを借りて乗り切りました。韓国は現在4000憶ドルにもなる外貨準備高を持っていますが、過去の危機の例から別用途に使い込んでいて急場に使える資金は半分も無いとの見方が有力です。文在寅(ムン・ジェイン)政権は経済音痴で危機意識が薄いようです。日米からの通貨スワップは今はもうありません。


 ◇反日が総選挙に有効と自白した与党

 ホワイト国排除にあたっての朝鮮日報=韓国聯合ニュース《文大統領「もう日本に負けない」 国民に奮起促す》という檄は日本でも報じられていますから皆さん読まれているでしょう。注目したいのは朝鮮日報韓国語版での読者コメントです。

 賛成が多い順に「なんで日本の責任なのか」(賛成1625、反対29)、「中国国営環球時報コラムが韓国の対日対策はほとんど何の効果もないと書いているのを読んだか」(賛成1443、反対14)、「自分が間違っておいて日本のせいだと」(賛成1248、反対17)と、全くムン大統領かたなしなのです。

 保守系が多い同紙読者は政権に辛辣です。では政権に近い進歩系のハンギョレ新聞の読者はどうでしょうか。

 「政府ファイティングです!韓国はできる」といったコメントに支持があまり集まりません。「今、経済が根こそぎ揺らいでいる。これどうするのだろうか?日本は悪い。しかし、私たちの外交政策は幼稚である。外交は古くから名分より実利が重要である。根本的な問題を解決しなければならない。根本問題は何か、大統領は知っているだろう」との意見がはるかに多くの共感を集めています。

 政権に近い運動家が組織的に煽っている不買運動ばかりに目が行く日本メディアには見えていないと思われます。

 ホワイト国排除直前の先月末に、ムン大統領腹心が率いる与党シンクタンクが来年4月の総選挙に反日が有利とリポートしたのも衝撃的で、あちこちのコメント欄で読者から非難されています。中央日報《日本に断固として対応することが来年の総選挙に有利》(韓国語)です。

 所属国会議員全員に「韓日葛藤に関する世論動向」レポートを送り、「日本の無理な要求に妥協することなく、断固として対抗することが重要である」「原則対応を好む世論に照らしてみると、総選挙への影響は肯定的である」と分析した内容です。

 「国が傾いているのに権力志向とは破廉恥」と野党から批判され、「十分な内部検討手続きを経ていない状態で、不適切な内容だった」と釈明していますが、本音とみられても仕方ないでしょう。第616回「次の韓国制裁土壇場で保守白旗直言、政権は苦悩」で伝えたようなメディアや民間識者、国民の願う根本解決策をムン政権は採用できない体質です。

 それにしても総選挙まで8カ月もあります。中小企業の6割は日本から部品などが入ってこなければ半年も持たないと回答しているそうです。その間、国民が苦しんでも、そんな先の総選挙を反日で有利に戦おうとはあまりに安直です。