第635回「新型コロナ感染反転増加、東京は窮地に陥る?」

 緊急事態宣言の延長が決定の4日、緩やかながら順調に減りつつあった新型コロナウイルス感染が東京で反転増加が確認されました。最大感染地での増加で全国の感染者数も減少から横ばいに転じ、宣言緩和は遠のきます。1週間サイクルの新規患者発生数の癖を消す7日移動平均で見ると、4月7日の宣言から1週間後に東京はピークに達し、宣言2週目は緩やかな減少、3週目に入ってかなり急に減っていたのに、5月に入って反転増加してしまいました。東京の状況からグラフで見ましょう。  新規感染には院内感染のクラスターなど経路がはっきりしている場合と経路不明な場合があります。この内訳を以下のように、NHK作成のグラフが赤い線で示しています。経路不明な例だけを7日移動平均のグラフにして、続けて掲げます。  5月に入って大きな院内感染で感染が増えた形ながらも、反転増加の基調を決めたのは感染経路不明者が増えたからであると示しています。直近の3日間、1週前の対応する曜日と細線で結ぶと同じような増加傾向にあると分かります。実は首都圏で東京に次ぐ神奈川県でも同様の3日間増加が見られており、東京単独ではなく広い範囲での反転傾向である可能性が高くなっています。東京が元の減少傾向に戻せるか、かなりの窮地にあります。  上に全国でのグラフを掲げている通り、下げ続けたグラフが困ったことに横ばいです。  大阪のグラフを見ると5月に入り感染減少傾向は緩やかになっても確実です。3月並みの1日1桁発生までもう少しであると考えられます。全国的には北海道が第2波襲来で騒いでいる以外は大きな揺れはありません。

 28日付の《インターネットで読み解く!》第634回「緊急事態宣言緩和へ3月並み抑制は連休明けか」で指摘したように世界的にも例が少ない、法的強制無しの、国民にお願いして自主的に自粛してもらう患者発生抑制策です。宣言1週間ほどで自粛に飽き飽きして4月半ばの週末は遊びに出た人が意外に多かったのかもしれません。潜伏期間を含めて2週間後あたりに感染が表面化するので、そうした推定も出来ます。本当に警戒されている爆発的な感染増加ではまだありませんが、緊急事態宣言の行方が短期緩和に向かうのか、長期化するのかを決める分かれ道にあると申し上げます。