第665回「中国・上海封鎖は住民犠牲多く効いてない」

 
 新形コロナで2500万人の巨大都市を封鎖している上海ロックダウン、住民から深刻な食料不足や病気になっても病院で受診出来ないとの悲鳴が上がっています。すぐそばにある台湾の流行状況と比較すれば、無理やりロックダウンに意味があるのか非常に疑問になります。上海に先立って3月中旬にロックダウンを実施した深センがあり、そのころから台湾と中国の新形コロナ流行はほとんど同じ推移をたどっています。「ourworldindata.org」のグラフで見ましょう。  台湾は重症者の発生が少ないために経済と日常生活を維持しながら対処しています。中国でも新規の死者は過去1週間報告されていません。台湾と中国の推移が類似しているのは、これまでに無い強力な感染力を持つオミクロン株という共通の相手に対処しているからでしょう。その過程でロックダウンがほとんど効果を示していません。

 ロイターの《台湾コロナ感染、月内に1日1000人超の見込み》は次のように伝えています。

 《台湾の陳時中・衛生福利部長(厚生相)は12日、新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者数が月内に1000人を超えるとの見通しを示した。ただ、重症化例は少ないとして、パニックに陥らないよう呼び掛けた。人口約2300万人の台湾は、入境制限や効率的な接触者追跡などの措置を早期に講じ、感染対策の模範となってきた。だが、今年に入ってからはオミクロン株の拡大で約4000人の感染者を確認している。当局は、重症者を出さない一方で、比較的軽症の感染者数を管理し、昨年5─7月のような大規模な経済活動制限を回避する新たなモデルを掲げている》

 一方、TBS NEWSの《ロックダウンの上海 市民4割が“狭い範囲”での外出可能に 食料は手に入りにくい状況続く》は続く混乱を伝えます。

 《上海市当局は先週土曜に2回目となる全市民一斉のPCR検査を実施。検査結果を踏まえ、14日以上感染者が出ていないマンションや住宅地などの区域については、区域内での外出、移動を認めると発表しました。いつから実施されるかなどは明らかにしていませんが、全体の4割以上が該当するということです。7日以上感染者が出なかった地域については、マンションや住宅など敷地内であれば外出可能になり、それ以外の地域は引き続き部屋から出ることはできないということです》

 中国当局は厳格な「ゼロコロナ」をやや緩める動きも見せますが、オミクロン株の手に負えなさは日本国内でかなりのところまで収束しながらも下げ止まっている点でも明かでしょう。「ゼロコロナ」政策のまま小手先の対応が効く相手ではないようです。