時評「柏崎刈羽原発の情報不足は深刻な不信に」

 新潟県中越沖地震から1週間になろうとするのに、大きなダメージを受けた柏崎刈羽原発の内部がどのようになっているのか見えてこない。やっと22日の朝刊に1.6メートルもの段差が出来たり、地面が波打ったりしている所内の写真が出た程度であり、これは地震当日に公表されてしかるべきものだ。今回の事態に関心を持つ人の多数は、原発内部がシステムとしてどれくらい健全なのかが知りたいはずだ。この関係では現在のところデータは皆無だ。いや、放射能を含む水漏れが止まらない点など危惧させる兆しはある。

 東京電力が19日になって公表した揺れのデータから、観測された最大加速度と設計値との比を以下に計算した。

    南北方向 東西方向 上下方向
 1号機 114%   249%   174%
 2号機 182%   363%   120%
 3号機 160%   199%   132%
 4号機 161%   254%   143%
 5号機 111%   174%    87%
 6号機 103%   122%   208%
 7号機 102%   135%   151%

 加速度最大値は1号機東西方向の680ガルながら、設計値との比では2号機東西方向の363%が最も大きい。2〜3倍の安全率を見込んで設計したとしても心配になる数字だ。原発の機器とシステムは、政府が言っているように堅い岩盤上にあって、本当に健全だったのか。

 折しも政府は国際原子力機関(IAEA)からの調査団派遣を「余裕がない」と断る意向を示し、新潟県の泉田知事は逆に早期受け入れを要望した。柏崎市による原発の使用停止命令に次ぐ、東電と政府に対する地元からの不信感表明とみるべきだろう。東電の調査能力は既に疑われているのだ。

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