団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

地上デジタル普及遅れ消費者軽視を連発 [BM時評] (2008/04/27)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 地上デジタル放送(地デジ)をめぐるニュースが立て続けに流れましたが、どれもが視聴者(消費者)軽視なので、本当にびっくりしました。まずは2011年7月24日に地上アナログ放送(現在、普通に見ているテレビ)を全国一斉に停止するとの、総務省方針決定です。しかし、昨年の同省調査「地デジ受信機普及率は27.8%。2011年停波も6割が認知」によると、世帯普及率は28%程度ながら実際の視聴は22%しかなく「停波についての感想は、『できればアナログ放送を続けて欲しい』がトップで43.1%(昨年度47.9%)」と出ているのです。本当なら停波延期を検討すべき時なのです。

 次は「『アナログ放送終わります』テレビ画面に常時字幕へ」です。NHKや民放各社が夏頃から、アナログ放送の画面に放送終了の字幕スーパーを流し続けるといいます。例えば映画番組を録画し後日、楽しむとしても「放送終了スーパー」は消えないのです。とっても盛り上がった場面で、震度3程度の地震情報が延々と出てきて興醒めしたことはありませんか。この夏から何を録画してもスーパー入りになる――とんでもない話だと思われませんか。

 地デジ受信機の普及が遅れている原因に、録画とコピーの制限があまりにも厳しいことが挙げられます。「コピーワンス」と表現される制限で、実際にはコピーを許しておらず、ハードディスクに最初に録画したとしたら、DVDに保存すると元のデータは消えてしまいます。途中、トラブルが発生してコピーできていなくても消えます。なおかつ地デジ・ハイビジョン画質のままでは持ち出せない制限もありました。録画とコピーが自由なアナログテレビを、現に楽しんでいる視聴者が乗り換えたいとは思いません。だから地デジ機を購入しているのに使っていない世帯が6%もあるのでしょう。

 この対策として考え出されたのが「ダビング10」でした。9回のコピーと1回の「ムーブ」(移動)を認める仕組みに変えるのです。6月2日には遂に実施とアナウンスされていたのに、「デジタル放送コピーワンス改善策『ダビング10』の運用開始が事実上延期に」となりそうです。25日の総務省情報通信審議会で委員の合意がまだ出来ていないことが示唆されました。北京オリンピックを控えて地デジ受信機売り込みのセールスポイントになるはずだったのですが……。

 地デジ・チューナ内蔵のパソコンは「2008年地上デジタルテレビ放送受信機国内出荷実績」によると累計で104万台しか出荷されていません。これもコピー制限のためで、放送業界がハイビジョン番組がコピーされて出回っては困ると考えた点が響き、防御が堅い大手メーカー製しか認めなかったのです。4月になってアイ・オー・データやバッファローなどの周辺機器メーカーが既存のパソコンに組み込めるチューナを5月に発売すると発表しました。既に予約を受け付け、まとまった台数が売れそうといいます。

 この制限緩和は、台湾製でネット購入できる、コピー制限フリーの地デジ・チューナ「Friio」に背中を押されたからでもあるでしょう。無視できない数が個人輸入として入ってきているようです。合法的に使える国産品があるのなら、消費者はそちらに向かうはずですよね。国内各社は自社製品が使えるかどうか、事前にチェックするソフトをネットに出しています。興味があって試してみましたが、1年前に新調した私のパソコンでは見られないのです。マシンパワーなどは問題ありません。20インチのディスプレイが著作権保護機能「HDCP」対応ではないことが決定的です。詳しくは「規制ガチガチ! PC用デジタルチューナーの条件を回避せよ!」などをご参照下さい。

 こんな地デジなんて、相手にするのは止めましょう。ハイビジョン映像を見たければ、例えば「JAPAN-GEOGRAPHIC.TV」から「桜の情景」の案内が来ていました。会員登録(無料)さえすれば、全国各地で取材、撮りためているハイビジョンのサクラがたっぷり楽しめます。

◆過去の関連記事です。
 無理を重ねた地上デジタルの副産物 [ブログ時評29]
 第132回「テレビ地上波デジタル化の読み違い」



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