後期高齢者の保険料はむしろ上がる?! [BM時評]

 衆院山口2区補選は、民主党候補が予想以上の差をつけて与党側を破ってしまいました。与党の敗因分析は「後期高齢者医療制度の不評が大きかった」というものです。彼らなりに世論調査をしていますから、本当なのでしょう。「後期高齢者の保険料は7、8割の人で下がる」との政府説明を知っていると、選挙の投票行動で「負担が下がった」人が批判票を投じるとは、とても不思議です。大きく負担が上がる人には激変緩和措置があり、4月には見えないと説明されました。

 ネット上の投票分析「タケルンバの衆院山口2区補選分析 - 福田政権は長くない」が同選挙区で、岩国市などに合併されずに残った郡部5町の票を過去3回の衆院選で比較しています。当然、自民党が強くなければならない保守地盤です。

    03票数 05票数 08票数 03シェア 05シェア 08シェア
 自民 19,468 20,025 18,814  53.1%  54.7%  49.9%
 民主 17,179 16,567 18,888  46.9%  45.3%  50.1%

がその結果です。風が吹いた郵政民営化解散の05年以前から自民党地盤なのに一気にひっくり返されたようです。ただし前回まで候補者を立てていた共産党が今回は不在です。05年には5町で2000票足らずを得ていて、共産票の行方で説明できる部分もありそうですが、やはり別のファクターも効いている感じです。

 先日の「後期高齢者医療制度の騒ぎ混迷深まる」でも紹介した「後期高齢者医療保険制度」に怒ってください!」シリーズの《番外編「大方の高齢者の保険料は安くなった?」福田首相は嘘つきだ!》が国民健康保険料の計算方法が公開されている各地の自治体で保険料がどう変わったか、シミュレーションしています。国保料は所得のほか資産保有も算定根拠にしているので持ち家の有無、副収入などで20のパターンを作り、それで新しい後期高齢者保険料と比較する労作です。

 試算結果は、持ち家の有無に関わらず、本人年金250万円・配偶者70万円クラスの中堅層が軒並み負担増になってしまうそうです。逆に国保時代の「資産割」がなくなるので富裕層には比較的、恩恵が出ます。このシリーズは6回まで来ていて、4月15日の年金で天引きされなかった場合に来月以降別途、保険料納付書が送られ、その額に驚く人が続出する恐れも指摘しています。「制度そのものは良いが、説明が足りなかった」とする福田首相の態度には、選挙の結果でも、ブログ試算でも疑問ありです。