四川地震はグーグルに味方、ヤフーの敵 [BM時評]

 先日の「大異変がネット上で5月中旬に発生!」は結果として、今回タイトルの通り「四川地震はグーグルに味方、ヤフーの敵」だったのですが、四川大地震という天変地異がインターネット視聴者の知的指向にどのような影響を与えたのか、興味深いものがあります。週末になって時間がとれたので、国内の主要なサイトについて探ってみました。人々の関心が四川地震を契機にニュース指向に大きく振れたと見られる中でも単純ではなく、改めてサイトの性格を見直す場合もありました。

 Alexaが公表している「日本のトップ100」が対象です。先日はトップ5のうちで別格の「YouTube」を除いた「ヤフー yahoo.co.jp」「FC2 fc2.com」「グーグル google.co.jp」「楽天 rakuten.co.jp」から見ました。今回もまず、この4サイトを並べ、続いてベスト10前後の「ミクシィ mixi.jp」「ライブドア livedoor.com」「ニコニコ動画 nicovideo.jp」「Goo辞書 goo.ne.jp」に47位の「ギャオ gyao.jp」のグラフを見ましょう。  ライブドア、グーはポータルサイトとして、ミクシィも少し性格は違うもののニュース提供に力を入れ始めていたと聞きます。グーグルに同期してかなりプラスに振れたのは当然でしょう。逆に娯楽路線のニコニコ動画は惨憺たる結果です。著作権に問題がある動画を排除する措置が加わってさらに下げ幅を大きくしているのでしょうが、下がり始めは今回のネット大異変のスタートにあります。同じく娯楽路線のビデオ提供サイト、ギャオも明らかに大きな影響を受けています。グラフは出しませんが、同じビデオでもアダルト系が多い「dmm.co.jp」はなだらかな減少で済んでいます。

 さらに下のサイトを見ましょう。意外だったのは14位の「2ちゃんねる 2ch.net」で、わずかに下がって戻しました。いつも騒ぎすぎで大異変には客離れするのでしょうか。「アマゾン amazon.co.jp」はグーグルと同期している感じを強めます。「はてな hatena.ne.jp」の大きな伸びも注目ものでしょう。「価格.com kakaku.com」の増加はちょうと驚き。また、ずばり娯楽の「オリコン oricon.co.jp」は判りにくい乱高下になっています。  ベスト100の中位から下位に位置する主要な全国紙サイトが、海外のニューヨークタイムズと並んで軒並み大幅なアクセス増加を示していることは、先日のグラフで出しました。これが放送局サイトになると様相が違います。次のグラフのように「TBS tbs.co.jp」は大きく下げていましたし、「NHK nhk.or.jp」は横ばいです。多分野解説の「All About Japan allabout.co.jp」とグルメ情報「ぐるなび gnavi.co.jp」という実用系サイトのアクセスが増えているのも面白いと思います。アマゾンや価格コムの増加と合わせると、遊びでない、実用的な知識に振れている気がします。その証拠に単なるおしゃべりが多い「魔法のiらんど tosp.co.jp」は激減です。 ※追補=世界規模のネット巨人たちがどうなっているのかも、参考にグラフ化しました。同じ検索といってもグーグルは伸びて、ヤフーは失速、マイクロソフトのlive.comは横ばいです。ユーチューブは四川大地震の映像を多く流しましたから増加、なぜかマイスペースも伸ばしています。  ※6/14追補=ネット運営側からアクセス増加の証言を見つけました。
 産経izaを運営する側のブログ「So what?」「改めて痛感するネットアクセスの非情さ 2008/06/12 08:00」 で「MSN産經ニュースが昨年10月にスタートしてから7カ月あまりは、最多PV記録はずっと、スタート月に亀田問題が起きた直後にマークした数字でした。それも、僅差ではなく、断トツの数字として“君臨”していたのです」「しかし、この5月、大きな変化がありました。四川大地震が起きた直後からアクセスが急増しました。連日、高い数字が並び、トップに迫る勢いでしたが、結局、最多の日もわずかの差で史上2位にとどまりました」と書かれています。これでAlexa側の何らかの操作が原因で、こう見えているだけとの可能性は無くなりました。