団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

自縄自縛の悪連鎖、六ケ所再処理工場 [BM時評] (2009/01/15)

(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 青森県で建設中の六ケ所再処理工場が最終試運転段階で大きな暗礁に直面したようです。目立つ形の全国ニュースとして取り上げられないので気付きにくく困るのですが、第162回「青森の再処理工場は未完成に終わる運命」で取り上げた最終段階の高レベル放射能廃液ガラス固化工程でのトラブル対処が次々にトラブルを呼んで、自縄自縛の悪連鎖に陥りました。

 ガラス固化するために高レベル放射能廃液とガラスチップを混ぜて溶融します。それを細いノズルから特殊なガラス容器に流下させますが、もともと設計上の対策不十分で炉の底に白金族元素が堆積しやすくなっていました。堆積問題に対処するために、当初の設計には無かった撹拌棒を導入し一生懸命混ぜていました。昨年末、その撹拌棒が抜けなくなったのです。東奥日報の「攪拌棒に曲がり/ガラス固化」に見取り図があります。真っ直ぐな棒が原因不明で曲がっていました。やむなく撹拌棒を力任せに引き抜くと、炉の天井を覆う耐火レンガの一部、長さ24センチ、幅14センチ、高さ7センチ、重さ6キロが脱落していました。原子力資料情報室の「六ヶ所 : 再処理工場・ガラス溶融炉:耐火レンガ脱落!」に詳しい図があります。曲がった棒を無理に引き抜いた際に天井を傷つけたのでしょう。

 溶融炉下部には温度が下がった溶融ガラス900リットルが溜まったままです。レンガはその中にありますが、ガラス溶液が流れ出る底部中心をふさいでいる可能性が高く、年が明けて炉の下からドリルを入れて削り、レンガに穴を開けることになりました。そして、1月13日付の「耐火れんが穴開け作業中断/原燃」になる訳です。「入り口の流下ノズル内にガラスが残っており、無理にドリルを入れるとノズルを傷付ける恐れがあるという」「現在、模擬装置でノズル内のガラスを削る練習をしており、作業再開までには数日かかるとしている」

 そもそもドリルを差し込む流下ノズルは非常に微妙な部品で、こんな「工事」をすることなど考えられていない所です。「ガラス固化技術開発施設(TVF)における溶融炉技術開発」の「図2」を見ていただくと、改良型になってますます複雑な形状になったことが分かります。白金族元素が途中で堆積して詰まったりしないよう、単純な丸い穴ではなくし、立体的にした隙間の形に工夫が凝らされています。そこにドリルを入れるのです。放射能汚染区域ですから遠隔操作するしかなく、名人芸的な作業は無理です。また、耐火レンガに穴が開いたとしても付近の流れの状態は一変します。設計者が見たら目を覆いたくなる惨状でしょう。

 今すぐ工場周辺に汚染を呼ばない点で原燃が「安全」と言っているのは間違っていませんが、トラブルを乗り越えて再処理工場の最終試運転が完全に終わる可能性は極めて薄くなったと思います。

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