団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

仕分けで科学技術ばっさりなら本格政策を [BM時評] (2009/11/15)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 新政権による新年度予算の事業仕分けで「13日の仕分け結果の詳報」(47NEWS)にあるとおり、科学技術関係項目がばっさりと削られる事態になっています。ネット上では「次世代スーパーコンピューティング技術の推進」が「(予算計上の)限りなく見送りに近い削減」になった点や、「博士課程修了者らに経済的不安を感じさせず研究に専念させることなどを狙った特別研究員事業(要求170億円)」や「若手研究者養成のための科学技術振興調整費(同125億円)と科学研究費補助金(同330億円)も削減」となったことが特に批判されています。

 《「事業仕分け」中間報告:若手支援は切り捨ての方向に向かい、最悪のシナリオが一歩現実味を帯びた》(大「脳」洋航海記)など、研究者があげる危惧の声が支持されているようです。効率が悪い物は切り捨てよ、では基礎科学の研究が出来ようはずがありませんから「若手はドロップアウトして表舞台から消えていくか、さもなくばもっと待遇と環境の良い海外へと逃げ散っていってしまうか、ともかく日本から姿を消してしまうはずです」「ポスドクを含む若手研究者が日本から姿を消し、『科学先進国ニッポン』は後継者ゼロとなって一気に崩壊に向かう」との指摘です。

 では従来の科学技術政策が今後も維持されるべきものだったでしょうか。若手やポスドクについての上記予算は、大学院定員を大膨張させ悲惨な現状を引き起こした文部科学省が、本質的な改革・改善を避けて打ち出した「つぎはぎ」策にすぎません。そこに何の未来もないことは科学技術政策に関心がある者には自明ですらあります。旧文部省のしたことは第120回「負け組の生きる力・勝ち組の奈落」の第3節「◆大学院重点化は一種の“詐欺”商法」で明らかにしています。また、大学運営の有り様や科学技術予算の大型プロジェクトには疑義が山積みです。

 《もう日本国民は「科学技術創造立国」をのぞんでいないのだろうか?》(WINEPブログ)は「『科学技術基本法』の精神に則って、日本は「科学技術創造立国』を目指してきたが、この精神は終わったのかと思わせてしまうものがある」「一通りこの人民裁判的な<事業仕分け>が終われば、民主党は頭を冷やして、冷静に総合的な判断を行い、今後の科学技術政策を構築すべきであろう」と主張しています。

 大学院重点化が動き出して20年近くになり、大学の現職教員でも現状の可笑しさがどこから来たものか、認識できていない方が多数になっています。にわか「仕分け人」に、十分な過去と現状への認識を持ってもらうことは無理でしょう。本格的に仕組みを変えていくしか、本質的な改善は出来ないのですから、見直す、あるいは立ち止まって考える――ことにまで文句を付けるべきではないと思います。その代わりに民主党連立政権に本格政策を早急に立案するよう迫るべきです。

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