団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

『プロジェクトX』の悪影響から抜け出そう [BM時評] (2009/12/19)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 NHKスペシャルの「チャイナパワー 第2回 巨龍 アフリカを駆ける」について書かれた「中国の特番を見た」(レジデント初期研修用資料)と、そのはてなブックマークが気になりました。結論から言えばこうした中国のやり方は日本には参考にも何にもならないと考えるのですが、NHK『プロジェクトX』という安易な「頑張りました、出来ました」番組があったために、日本の企業活動について大きな誤解が広がっています。

 「チャイナパワー」は道も整備されないエチオピアの山奥まで中国企業が携帯電話網を整備する話です。全土にアンテナを建てまくる人海戦術です。「なんだか『プロジェクトX』みたいに見えた」「プロジェクトXは、日本独自の昔話だと思っていたんだけれど、あれが昔話になってしまったのは、要するにああいう『泥まみれになって働けるプロジェクト』を、日本の政府とか、企業が取って来ることができなくなったからなんだな」と思われ、はてなブックマークでも納得されてしまっています。

 いまトヨタ自動車が苦境にあります。筋肉質な、リーンな生産様式を作り上げて米ビッグスリーを追い落としたはずなのに、米国の住宅バブルに浮かれて利幅が大きい大型車に手を出してしまいました。その一方でこれから実需が立ち上がる途上国で足場を築くことを怠っていました。損益分岐点が大幅に上がり、リーンどころかぶくぶくの肥満体です。それなのに経営の意思決定が過去に縛られがちで方向転換が難しいのです。ソニーなど日本の大手メーカーは似たような状況にあります。

 日本には「頑張れば出来た」の過去しかないなら悲惨の限りですが、そんなことはありません。日本企業が米国を追い上げる過程で発揮されたのは知恵と創造性だったのです。ソニーのウォークマンが全く新しい音楽の聴き方を切り開いたのが、その典型です。ウォークマンは例外的な存在ではなく、様々な業種、局面で新市場を切り開く商品開発が行われました。今一度、そこに立ち返るべきです。そうした営みを「独走商品の現場・京都」として20年前にシリーズにしています。「京都商品開発ストーリー閲覧への招待」から入れます。興味がある方はどうぞ。

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