団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

新聞有料電子版、日経とデイスポの落差鮮烈 [BM時評] (2010/01/27)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 うわさ先行だった新聞の有料電子版が2社から形を現し、両者の落差は鮮烈でした。INTERNET Watchが26日「デイリースポーツ電子版が2月1日スタート、月額1890円」と伝え、「■[メモ]日経新聞電子版は月4000円で3月創刊か 地方紙への課金システム提供も視野」(edgefirstのメモ)が「FACTA2月号」からの引用メモとして「購読料は電子版単独で月4000円、紙の新聞(月約4300円)と併読する場合はプラス1000円」と書いています。

 日経の方は正式なアナウンスでなく、社内情報が漏れてきたもののようですが、3月創刊が動かないならもう固まっていなければなりません。それにしても日経の月額300円しか差がない値つけはあまりに臆病で現状維持志向と言うか、新規読者は期待しないと宣言したような印象です。デイリースポーツは電子版が紙に比べ58%に下がるのですから、大いにお得用と感じられるでしょう。こちらは新規読者獲得に加えて、紙からのシフトも歓迎すると見えます。

 マイコミジャーナルの「日経電子版の創刊に見る"販売店"という呪縛」が国内の新聞に特有の販売店問題から説いています。「アメリカの新聞(電子版を含めて)購読者は発行本社の"もの"であり、顧客管理は発行本社が行っている。これに対して日本の販売システムでは基本的に新聞購読者は販売店の"もの"であり、顧客管理も販売店が行ってきた」「日本経済新聞社の場合、多くの地域で販売、集金を全国紙3紙、または有力地方紙の販売網に委託している」販売店にとって「講読者カードは現金と同じで、その詳細情報は 通常、発行本社にすら知らせていない」「自らが生殺与奪の権限を握る専売店に対してなら相当強引なことはできるが、いわば他社の暖簾を借りている地域では無理な相談である」と喝破、「併読する場合はプラス1000円」を他社販売店の協力を得て実施することは困難とみています。

 ところが、デイリースポーツは地方紙の神戸新聞から派生したスポーツ紙です。他社の販売店網で配ってもらっている点は日経と似ていますが、読者が電子版に移行して紙の部数が減ってもよいと割り切ったようです。背景として、自社販売網へのしがらみはあったとしても日経より圧倒的に少ないはずです。新聞広告収入減への配慮も薄いようです。日経の場合は電子版への移行で紙部数が大きく減ると広告単価が下がる心配もしているかも知れません。

 結果として日経はなるべく現状を変えないように電子版をスタートさせるようです。これでは電子版をつくり売る新規費用をかけて、どれほど利が出るのでしょうか。じり貧ぬるま湯の国内新聞業界を揺さぶると思われていた日経有料電子版のインパクトは極めて小さなものになりそうです。今度はデイリースポーツの果敢な実験の方に注目です。

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