第198回「デジタル放送録画規制は最悪、呪縛脱し思う」

 ビデオテープへの録画なら20年を経ても鑑賞できますが、デジタル放送の録画は数年先にも見られなくなる欠陥があることを認識されているでしょうか。録画機能付きの薄型テレビやビデオレコーダーで録画した場合、暗号化して録画したその機械が壊れたら、とりだめした番組はもう見られなくなってしまいます。1年前にブラウン管テレビが壊れて買い換え、デジタル録画の番組が溜まっていくに従って、これは困るなと考え始めました。そこでこの週末、家庭内LANに録画機能付きテレビと切り離されたLANハードディスクを導入しました。他の部屋からも録画番組を自由に見られるようにするとともに、機械が壊れてもオリジナルの録画番組が生き残る方向に歩き出した訳です。

 導入した機器は2万5千円の1.5テラバイトLANハードディスク以外に、東芝のノートパソコンがあります。こちらはテレビがあるリビング以外の場所で録画番組を楽しむためのものです。家族はみなパソコンを持っていますが、DTCP-IPと呼ぶ(技術説明はこちら)著作権保護規格に適合するためには部品交換やソフトウエアの購入がそれぞれ必要になります。必要な視聴ソフトSoftDMAが組み込み済みで、我が家には無いブルーレイディスクドライブを備えながら8万円と格安に買える機種を発見したので、それぞれの改造にお金を掛けるより私の仕事補助機も兼ねて一本化しました。なおLANハードディスクに無償添付の別ソフトがあり、ソニーのゲーム機PS3にも同じ機能があります。

 ご推察の通り、移行した新しい状態も著作権規制でがんじがらめではあります。テレビは東芝のレグザZ7000で、外付けの1テラバイト・ハードディスクに録画しています。ここからLANハードディスクに番組をダビングするのに、録画時間の8割くらいの時間がかかります。一度、独自の暗号を解除してからDTCP-IP側の暗号を掛け直し、LANで送り込むから時間が掛かるのです。テレビ側の録画中などは出来ませんから、連続ドラマをよく予約録画している使い方では、長時間の映画などをダビングするのに気をつかいます。

 少しずつでもダビング番組を増やしテレビから離れて自由に見られるようになると、録画機械に縛られている現状は最悪だと改めて思い至りました。リビングのテレビを2時間、3時間と独占して見るのはやはりまずくなっています。エンターテイメントは個人持ちの画面で楽しむのが常識化した時に、デジタル放送の録画規制が現れました。時代に逆行した規制のおかげでテレビはますます見られなくなっていくのではないでしょうか。

 ブログでも「BDZ-RX100はDTCP-IP対応してる!」や、「REGZAでDLNA(DTCP-IP)」など、家庭内で試みている人がかなり増えています。

 LANハードディスクへのダビングで元の機械の制約から脱しましたが、ハードディスクの寿命問題やクラッシュ事故の恐れがあります。本当に長期保存したい場合は、LANハードディスクの電源を必要な時以外には切っておくことも考えようと思っています。LANハードディスクの増設は簡単なので長期保存用を別に用意してダビングすれば、もっと安心ですが、この愚かな規制のためにそこまでさせられるのも不本意な気分です。

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