ブルーレイディスクの本格普及が見えた [BM時評]

 HD-DVDとの次世代争いに勝った割には、遅々として家庭に浸透しなかったブルーレイディスクに本格普及が見えてきました。AV Watchの《マイケル「THIS IS IT」が史上初のBD/DVD 3週連続W首位〜累計売上128万枚、総額で50億円を突破。オリコン発表》にある「DVD版3種類を合わせた売上枚数は6.6万枚で、累計97.4万枚。BDを加えた総売上枚数は128.9万枚」が端的に示します。ブルーレイ分は31万枚余りです。広範囲なファンに買われる音楽映像作品の4分の1をブルーレイディスクが占めるようになりました。

 GfK Marketing Service「2009年上半期DVDソフト市場」は「2009年上半期のセルDVDソフト市場(通常DVD、Blu-ray、DVD/BD Hybrid、HD DVD、UMD全て含む)は、2,852万枚、1,160億円。数量前年比15%減、金額前年比20%減と、数量・金額ともに大きく前年を割り込んだ」と伝えています。一方で「Blu-rayソフトは、右肩下がりを続ける他規格に対し、着実な成長を遂げている。上半期の市場規模は147万枚、84億円に達し、すでに2008年通年の市場規模を超えた。全規格を含めたセルソフト市場全体のなかでの構成比は7%(金額ベース)」「前年同期比400%を超える成長率は他国と比しても非常に高く、日本 市場がBlu-rayソフト普及の先駆けであると言える」そうです。

 家庭用ビデオレコーダーがブルーレイ対応に置き換わるなどした動きがあり、累積してここに至ったのでしょう。国内のブルーレイディスク販売では国内アニメが過半を占める特異な状況でしたが、「THIS IS IT」が大きく売れたので最近の状況は違ってくると思われます。もうひとつブルーレイで特異なのは販売チャンネルです。DVDではメディアストアが主流なのに、通販/ECがメインなのです。

 普及はエンターテインメント分野の話です。パソコン用の記録媒体としては依然としてぱっとしません。私も外付けのHDDが安価なので必要を感じていませんでした。先日の第198回「デジタル放送録画規制は最悪、呪縛脱し思う」で買ったノートパソコンのおかげで記録型ブルーレイドライブに初めて触ることになりました。家庭内LANを組んであちこちのパソコン、HDDの中身が自由に使える環境では、わざわざブルーレイディスクに焼いたりしないと思います。ただ、25GB盤が200円で買えるので、ドライブを持つ他の人に長尺コンテンツを差しあげるには便利かと思い始めています。

 ブルーレイソフトは400タイトル余りのレンタルが始まっています。試しに最新映画を借りてきてDVD版と比較しています。横1366ピクセルのノートパソコンでも高精細感の差ははっきり分かります。画素数が少ないDVD版を引き延ばして見せる技術がなかなか上手になっていますが、あれはあくまで擬似的なものです。ソフト制作時にフルハイビジョン画素数の4倍を持つ2K4Kの画面を造ってから落とし込むようにもなっているので、フルハイビジョン画面から落とすDVDとの差がより出るようです。

 ちょっとマニアックな、高度な家電製品を真っ先に買うのは日本の消費者がもつ特性です。国内の電機産業はそれで発展してきたのですから、ブルーレイの普及、ソフトの販売増加は少しは景気づけになるでしょうか。