就職留年7人に1人、これも高学歴プアー [BM時評]

 読売新聞が「就職留年7万9000人、大卒予定7人に1人」と1面で大きく伝えました。これまでの国の調査では見えていなかった、敢えて卒業を見送る就職留年を読売新聞「大学の実力」調査で捉え「国の調査では、約3万1000人が、就職が決まらないまま卒業している。今回、明らかになった留年者約7万9000人を合わせると就職浪人は約11万人となり、その分、就職戦線が激化している計算になる」としています。

 大学卒業まで行っての受難、しわ寄せが若い世代に集まっています。先週、第208回「文系も理系も高学歴プアー:年上世代は身勝手」を書いたばかりです。企業業績は回復傾向にありますが、大衆の生活実感は就職留年の問題が象徴するにように苦しいと思います。菅首相が本来、得意なはずの生活者の感覚から離れて近未来の消費税増税問題にシフトしていては支持率低下も当然でしょう。税と財政の構造問題を語ることはタブーでも何でもありませんが、有権者に対して何の業績も上げていないのに語るべき事柄ではなかったと思います。

 大手志向が強すぎる就職難について、ブログにはこんな指摘もあると紹介しておきましょう。「就職留年7万9000人、大卒予定7人に1人」(40オヤジの独り言)は言います。「今の学生はリクナビ、毎ナビに対する依存率が非常に高く、ここの情報だけで就活やっている人が多いんですね・・」「でも基本的には広告のサイトですから、たくさんお金払う会社に人が集まる仕組みになっており、大手は当然採用費用に多く資金を投下できるので大手に人が集まるような情報操作がしやすいわけです」「就職サイト運営会社は当然ですが広告費を多く払ってくれる企業にたくさん学生が集まるような情報操作を行っています」「学生を誘導し、さらに儲かる流れを生み出した結果、かなりひずんだ構造を社会に生み出してしまった」「上述した流れは業界関係者なら皆知っていることですが、ほとんど報道されない部分ですね・・」

 中小企業へ必要な人材の流れも整備して、大きな枠組みで改善していかないと経済全体の活力回復は難しいでしょう。このニュースは、政治がするべき事はもっとあるというメディアからの示唆でした。