第228回「若者が目指す国、捨てる国〜世界総覧を作成」
AFPが米世論調査企業ギャラップの調査を紹介した《「日本飛び出さない若者」像、米調査でも 頭脳流出はアジア全体で問題化》のデータがとても興味深かったので、元の調査結果から「若者が目指す国、捨てる国」という観点で世界総覧を作ってみることにしました。目指す国としてシンガポールが飛び抜けて高い点や、大人口の中国、インド、あるいは隣国である韓国、台湾の位置なども面白いところです。なお、上記の記事は最近流行の切り口に無理矢理持っていった見出しのせいで、中身がスポイルされています。
ギャラップの調査は「世界148か国の成人35万人を対象にした調査に基づき、ある国へ移住したいと回答した人数から、その国から出たいと回答した人数を引いて」人口がどう増減するかパーセントで示しています。15歳から29歳までの若者を対象にした部分と、4年制大学以上を出た高学歴層の部分とがありますが、今回は若者層に話をしぼります。個別データが示されている116カ国について、若者層人口の増減順に並べてみました。右側に付いている数字は第156回「失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」で使った2005年の1人当たり紙消費量(kg)で、社会状態を示唆してくれます。 若者が目指す国、つまり希望を集計して若者人口がプラスになる国が116カ国の内で26しかない点をまずおさえておきましょう。欧米が上位独占ではなく、1位はシンガポールで537%なので6倍以上にも増える計算です。2位カナダ301%のあとにオセアニアのオーストラリア276%、ニュージーランド235%が続きます。以下は17位のデンマーク47%まで欧米諸国で、1人当たり紙消費量100〜200kgが並びます。18位に突然、アフリカからボツワナ46%が現れます。24位ナミビア7%と並んで22位南アフリカ21%の北側にある国で、いずれも貧しい国ながら地下資源の開発で脚光を浴びています。下位を占めるアフリカ諸国ではマイナス40%や50%が珍しくなく、まさに「国を捨てる」勢いの中で、この地域だけが希望が持てるようです。
アジアの2番手は20位マレーシア34%。日本は21位23%ですが、高学歴層調査ではマイナス13%になる点は付け加えておきます。インドがマイナス9%、中国もマイナス10%と並んで現れます。並の国の10倍はある大人口国ですから、移住希望はそれぞれ並の1カ国分そっくりの規模だと思わなければなりません。華僑も印僑もいるシンガポールが人気なのは分かる気がします。オーストラリアへの留学も多いと聞きます。
韓国はマイナス4%、香港もマイナス5%です。1人当たり紙消費量100kgを超す中進国以上でマイナス側にいるのは韓国と、70位の台湾マイナス28%だけでしょう。未来を見通しにくい、難しい国情が現れています。ロシアはマイナス13%、やはり経済が伸びているブラジルもマイナス23%の位置にいます。
マイナス20%台には東欧や中南米、旧ソ連邦諸国、中東のちょっと問題がある国が並びます。マイナス30%台に入るとアフガニスタンといった失敗国家がありますが、紙消費量は数十kgが多くて必ずしも貧しい訳ではありません。さすがにマイナス40%を超える23カ国では、紙消費量で見ても貧しさは歴然としてきます。バングラデシュのほかはアフリカ、南米が占めています。60%台は悲惨です。
最後に日本で派遣の仕事を辞めて、シンガポールで10月から現地採用になったOLのブログ「LiKe A roLLinG sTonE〜シンガポール編〜Do not fear going forward slowly; fear only to stand still〜」を紹介しましょう。アメリカ留学はされていますが、それほど特別な能力はお持ちでないようです。それでもシンガポールを目指して行けるのですね。就職準備の話や現地事情、アフリカの珍しい国の人との出会いなど、人気国シンガポールの内情が見えるようで興味を持ちました。昨年、リリースした第190回「留学による大移動は新段階、中韓米日で見る」も、若者の動向を理解する資料になります。
ギャラップの調査は「世界148か国の成人35万人を対象にした調査に基づき、ある国へ移住したいと回答した人数から、その国から出たいと回答した人数を引いて」人口がどう増減するかパーセントで示しています。15歳から29歳までの若者を対象にした部分と、4年制大学以上を出た高学歴層の部分とがありますが、今回は若者層に話をしぼります。個別データが示されている116カ国について、若者層人口の増減順に並べてみました。右側に付いている数字は第156回「失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」で使った2005年の1人当たり紙消費量(kg)で、社会状態を示唆してくれます。 若者が目指す国、つまり希望を集計して若者人口がプラスになる国が116カ国の内で26しかない点をまずおさえておきましょう。欧米が上位独占ではなく、1位はシンガポールで537%なので6倍以上にも増える計算です。2位カナダ301%のあとにオセアニアのオーストラリア276%、ニュージーランド235%が続きます。以下は17位のデンマーク47%まで欧米諸国で、1人当たり紙消費量100〜200kgが並びます。18位に突然、アフリカからボツワナ46%が現れます。24位ナミビア7%と並んで22位南アフリカ21%の北側にある国で、いずれも貧しい国ながら地下資源の開発で脚光を浴びています。下位を占めるアフリカ諸国ではマイナス40%や50%が珍しくなく、まさに「国を捨てる」勢いの中で、この地域だけが希望が持てるようです。
アジアの2番手は20位マレーシア34%。日本は21位23%ですが、高学歴層調査ではマイナス13%になる点は付け加えておきます。インドがマイナス9%、中国もマイナス10%と並んで現れます。並の国の10倍はある大人口国ですから、移住希望はそれぞれ並の1カ国分そっくりの規模だと思わなければなりません。華僑も印僑もいるシンガポールが人気なのは分かる気がします。オーストラリアへの留学も多いと聞きます。
韓国はマイナス4%、香港もマイナス5%です。1人当たり紙消費量100kgを超す中進国以上でマイナス側にいるのは韓国と、70位の台湾マイナス28%だけでしょう。未来を見通しにくい、難しい国情が現れています。ロシアはマイナス13%、やはり経済が伸びているブラジルもマイナス23%の位置にいます。
マイナス20%台には東欧や中南米、旧ソ連邦諸国、中東のちょっと問題がある国が並びます。マイナス30%台に入るとアフガニスタンといった失敗国家がありますが、紙消費量は数十kgが多くて必ずしも貧しい訳ではありません。さすがにマイナス40%を超える23カ国では、紙消費量で見ても貧しさは歴然としてきます。バングラデシュのほかはアフリカ、南米が占めています。60%台は悲惨です。
最後に日本で派遣の仕事を辞めて、シンガポールで10月から現地採用になったOLのブログ「LiKe A roLLinG sTonE〜シンガポール編〜Do not fear going forward slowly; fear only to stand still〜」を紹介しましょう。アメリカ留学はされていますが、それほど特別な能力はお持ちでないようです。それでもシンガポールを目指して行けるのですね。就職準備の話や現地事情、アフリカの珍しい国の人との出会いなど、人気国シンガポールの内情が見えるようで興味を持ちました。昨年、リリースした第190回「留学による大移動は新段階、中韓米日で見る」も、若者の動向を理解する資料になります。