第240回「若者はセックスまで避けだしているのか」 (2011/02/16)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 お酒は飲まない、車は買わない――最近の若者に対して言われる風潮に「セックスも避ける」が加わりそうです。日経メディカル「日本では主な性感染症の報告数が減少傾向に」で性感染症(STD)と人工妊娠中絶がこの十年来急減しているとする、とても気になるグラフを見たので以下に引用します。



 「京都大健康医学系社会疫学教授の木原正博氏らが厚生労働省が定点観測している性感染症のデータを基に解析したところ、例えば2008年の淋菌の報告数は、ピークである2002年に比べて半減。性器クラミジアも、約30%減少している」「日本の若年層の性行動自体は米国の若年層に比べると無防備ではあるが、性経験率が減少しており、その影響が大きいのではないか」と見られています。人工妊娠中絶のピークは2000年前後にあり、2009年は3、4割減っている感じです。そして「先進国の中で、日本以外にSTDが減少している国はまずない」のだそうです。

 性感染症と妊娠中絶の減少傾向がここまで一致している以上、日本の若者には他の先進国にはないセックス回避指向が出現したと考えるべきでしょう。年齢が低いハイティーンで最も顕著ではあるものの、若年層に非正規雇用が急速に広がった経済的不安定事情が背景にあるはずです。昨年のエントリーなら「生涯未婚率急増への注目と日米・貧困で非婚化」第233回「30代の『家離れせず・出来ず』は相当に深刻」が該当します。

 しかし、米国や欧州でも貧困や就職難の問題は多かれ少なかれ共通にあると思いますから、日本の性感染症の発生状況が欧米とここまで違う理由を説明できるファクターは何なのでしょうか。最近になって流行の「男子の草食化傾向」あたりでは弱いでしょう。

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