生涯未婚率急増への注目と日米・貧困で非婚化 [BM時評] (2010/02/03)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 私のサイトにある第152回「20代男性の3人に1人は生涯未婚の恐れ」(2006年)をはじめとした非婚化についての記事が、最近しばしば多くのアクセスを集めます。先週末もNHKスペシャル「無縁社会〜“無縁死” 3万2千人の衝撃〜」をきっかけに大量の方が検索して来られました。家族をつくらずに死んでいく人が急増していく様が伝えられ「2030年の生涯未婚は女性で4人に1人、男性で3人に1人」と予測されているというのですが、この予測を一番早く言い始めたのは私のところだと思います。

 推計は過去の国勢調査によっています。方法の詳細は上記の記事をご覧いただくとして結論部分のグラフを掲げておきます。2005年の国勢調査時点の世代別に生涯未婚率はこのようになる可能性が高いのです。


 生涯未婚率は人口学の概念で、女性が結婚しても子どもが生まれる可能性が少なくなる50歳時点での未婚率です。人口変動への影響が無視できる年齢ということです。60歳を過ぎてからの初婚もありえますが、実際の数字としてはわずかです。2030年の生涯未婚率とは2005年で25歳が50歳になる時点ですから、グラフの右端、20代後半が相当しています。男性は33.5%、女性は28.1%です。30代後半の男性でも4人に1人は生涯未婚であることが分かります。

 非婚化は以前は少子化と対で語られることが多かったのですが、最近は単独でも、あるいは若い層の貧困化と関連づけてよく論じられます。非正規雇用が半数にもなった国内の若い世代ばかりでなく、貧富の差が大きい米国でも若者の未来は明るくないとされます。「中岡望の目からウロコのアメリカ 」の「金融危機でアメリカ人の生活はどう変わったか:消えたアメリカン・ドリーム」が、労働組合のナショナル・センターであるAFL−CIO(米労働総同盟産別会議)の報告「若い労働者−失われた10年」から引用しています。

 「35歳以下の労働者の34%が十分な所得がないために家族と同居しており、10年前と比べるとはるかに大きな雇用不安を感じており、医療保険に加入するのも無理だと答えている。25%の若い労働者は毎月の支払いをするだけの収入がないと答え、半分以上が未来に希望を感じられないと答えている」「この10年間で若者の機会が失われ、彼らは生きていくのに精一杯である。結婚を断念し、子供を産むのを先延ばしし、いつまでも大人になれない状況が続いている」。この記事ではまた、金融危機が米国の大学を直撃し、雇用だけでなく学生生活も苦しくなっている状況が語られています。

 非婚化について国勢調査を利用して書き始めたのは1997年の第1回「空前の生涯独身時代」からです。このほか国際結婚や離婚の状況まで含めた人口の動きを追う記事が、インターネットで読み解く!「人口・歴史」分野に集められています。

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