飯舘村南部に広い高汚染地域:現地調査で確認 [BM時評]

 福島原発事故で国が指定した避難地域から外れているのに高い放射能汚染が心配されている飯舘村について、京都大原子炉実験所の今中哲二さんら飯舘村周辺放射能汚染調査チームが実施した《3 月28 日と29 日にかけて飯舘村周辺において実施した放射線サーベイ活動の暫定報告》が4日、公表されました。村役場提供のワゴン車に測定器を積み村内を走って測定結果から割り出した放射線量の等高線図で、南部に10マイクロシーベルト/時を超える高汚染地域が広がっていることが確認されました。村の面積は230平方キロ。赤い線は車の走行経路です。  計測数値は車内での数字で、車外に出ると2割ほど上がりました。図の最南部付近にある「曲田」は空間線量が24マイクロシーベルト/時です。ここで土壌を採取して調べると1平方メートル当たりで324万ベクレルの放射能を検出しました。主体はヨウ素131やセシウム134、137です。IAEAのチームがやはり同村で検出した1平方メートル当たり2000万ベクレルがどれほど凄まじい数値だったか、これで想像できます。これを敢えて無視するのですから「高汚染無視で飯舘村民を棄民する国とメディア」と指摘して間違いありませんでした。

 今回の現地調査は15年来、飯舘村と共同で持続可能な村づくりを目指す取り組みをしてきた日本大生物資源科学部糸長研究室が後押ししたものです。同研究室の「飯舘村周辺放射能汚染調査暫定報告の発表と対策について」は「今回の放射能汚染に関して、村には何ら責任はありません。しかし、村は屋内避難勧告地域に一部がかかるだけで、大半が圏外であるため、国や県からの明確な勧告や支援を得られていません。こうした状況に鑑み、後方支援チームとして国や県に対して、以下を要望いたします」とし、線引きにこだわらない対応・対策やサーベイ、汚染除去、村民健康管理の実施などを求めています。