自分で福島事故を究明しなかった原子力学会 [BM時評] (2012/03/20)

(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 こんな逃げるばかりの専門家しかいなければ大事故も起きる――20日朝刊の原子力学会の記事を見て唖然としました。自らの専門分野で福島原発事故という超重大事故を目の前にしながら、日本原子力学会は事故経過を真剣に究明していなかったのです。福井市で始まった定期大会で身内から批判を浴びて、遅ればせながら6月末を目標に取りまとめるそうです。

 毎日新聞の《原子力学会:福島原発事故、独自調査へ 「志低い」批判で》はこう伝えます。《学会は事故を受けて調査専門委員会を設置、5月に提言としてまとめた。しかし炉心溶融や水素爆発などがどう起きたか事故の詳しい分析はしていない。大会初日のこの日、事故の特別シンポジウムが開かれ、沢田隆副会長が政府の事故調査委員会など他機関の調査と、学会の提言との比較を発表した。ところが会場から「福島第1原発で何が起きたかを学会として科学的分析をして明らかにすべきだ」と独自調査を求める声があがった》。

 専門家として事実の究明、分析なしに何を提言できるのでしょうか。「5月に提言」とは、まだ何も明らかになっていない時期です。

 事故の当初から「個人責任を追及するな」と学会声明していた点で際立っていました。《福島第一原子力発電所事故「事故調査・検討委員会」の調査における個人の責任追及に偏らない調査を求める声明》にこうあります。「日本原子力学会としては、この方針に則り、また、学術会議報告書にも述べられているとおり、結果だけをみて直接関与した個人の責任を追及するのではなく、設置者のみならず規制当局等も含めた組織要因、背景要因などについても明らかにされ、関係者間で共有されて再発防止に活かされることが重要と考える。今後の調査において、事故関係者からの証言聴取が、国際的に整合性を持った手法で、実効性を最大限高めるべく進められることを求める」

 外部に対して求める以上、自分でも個人責任追及はしないかわりに「実効性を最大限高める」事実関係の究明をすると思っていましたが、意味があることは事実上してこなかったようです。昨年11月、第288回「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」で「米国の原子力専門家組織が、福島原発事故について初めて時間を追って現場の措置・経過を詳細に記した98ページ報告書を公表」と紹介した際に国内からの事実究明が遅れていることにもどかしさを感じました。

 何ということか、日本の当該学会は事実を究明するつもりすらなかったわけです。触れたくない事実に目をそむけて科学技術の進歩はありません。一言、「恥を知れ」と申し上げます。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー

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