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再稼働へ警鐘:Nスペが過酷事故欠陥を実証 [BM時評] (2012/07/22)

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(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 21日放送のNHKスペシャル「メルトダウン 連鎖の真相」は、炉心溶融に至る過酷事故対策が出来ていない問題点を露わにしました。原発再稼働を担保したストレステストは過酷事故を考慮していません。第2段階のストレステストが過酷事故を扱う計画だったのであり、実施見通しは立っていません。番組内容の深刻さを理解すれば、Nスペには再放送がつきものなのに、その日程がない点が象徴的です。大飯再稼働した政府に遠慮でしょう。

 福島原発事故では昨年、既に1号機を扱っているので、今回は続いて炉心溶融した2、3号機が中心です。特に最大量の放射性物質を放出した2号機が、格納容器大崩壊の寸前まで追い込まれ、現地の幹部たちが死を意識した状況にスポットライトが当たっていました。8個もある逃がし安全弁(SR弁)がどれも開かず、原子炉の高圧が続いて外部から注水できぬまま推移し、現在でも確認できない格納容器のどこかの小破壊で終わりました。どうしてSR弁が開かなかったのかの検討で、格納容器の圧力が上がっていれば、原子炉の命綱になっているSR弁は開かない仕組みになっていると結論されました。

 これまでの事故調査報告で初めての指摘です。過酷事故が起きた際に根本的な欠陥があるのなら、再稼働はもちろん「ノー」です。地震対応度が低い周辺装置の地震損傷で、重要機器が働かなかった恐れも出ていました。大飯原発再稼働は第303回「新安全基準は想定外を隠れ蓑にする欠陥品」で喝破した「過酷事故は想定外として棚上げする福島原発事故以前の考え方に先祖帰りしているだけ」で可能になりました。

 この番組の最後は3号機SR弁を開けるためのバッテリー補給問題でした。メルトダウンを防ぐため12ボルト蓄電池10個繋いで120ボルトにしたいのに、2ボルト蓄電池しかなく、12ボルト蓄電池は55キロ離れた備蓄基地には山積みされていました。放射能汚染地域への物資搬入がスムーズにいかなかったとしか伝えられませんでしたが、蓄電池10個はクルマ1台で運べます。全電源喪失が問題になっていた当時に、蓄電池を送る必要を考え出す能力も、犠牲的精神で持っていく胆力も、東電の後方支援組織には無かったという無惨です。

 【参照】インターネットで読み解く!「過酷事故」関連エントリー

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