第332回「有権者の信賞必罰投票とマスメディアの漂流」
投票日が迫る総選挙、投票率が下がって自公が大勝、政権復帰濃厚です。2005小泉郵政解散で小選挙区制の使い方を知った有権者が、2007参院選以降「信賞必罰」投票をしていると理解すれば善いでしょう。熟語の意味と少し違って「望みを託す側に入れて、失望したら外す」行動です。総選挙終盤に至って4割、5割もの有権者が投票先を決めず、投票しない人が増えるでしょう。この結果、福島原発事故と消費税増税という今回総選挙の本来テーマが霞んでしまいました。マスメディアは本来の争点をそもそも認識していなかったのですから有権者を誘導することが出来ず、選挙情勢調査結果の極端さに右往左往し、評価の切り口を見つけられずに漂流しています。
2005年から国政選挙で起きた有権者の信賞必罰ぶりをまとめました。
選挙 【政権側】【野党側】
2005衆院 信賞→→→→→→→(小泉改革へ失望)
2007参院 必罰→→→→→→→(衆参ねじれ国会)
2009衆院 必罰______信賞→→(政権交代)
2010参院 必罰
2012衆院 必罰______信賞無し(政権交代?)
2013参院 必罰?
小泉郵政解散で有権者が政治に関わる味を覚えたのは間違いありません。その年9月の《時評「勝った以上は『改革の党』にさせよう》で、最後にこう書きました。「再来年夏の参院選だって小選挙区同然です。民意の動かし方を知った有権者が失望して逆に動けば、底なしの大敗だってあります。それに今回の選挙での動き、今後求められる改革は、自民党の従来型支持基盤を壊す方向にあるのは明白です。小泉後継とも目される方たちが超大勝に慄然としているのは当たり前のことなのです」
小泉構造改革は有権者の期待に反して、細部を丸投げする形で中途半端に終わりました。小泉氏にはシングル・イシューに単純化して訴える能力はあっても、政策を体系的に仕上げる力は無かったわけです。日本は変わると思いこんで投票した有権者の「必罰」は、2007参院選で自民に27議席減の大敗をもたらし「衆参ねじれ国会」が生まれました。この過程で小泉後継の安倍政権は既に落第になっていました。
2009総選挙で「民主圧勝308議席、自民惨敗119議席」は必然の道筋にあったとするしかありません。《衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線》でも民主党への期待は記録されています。それが軽い失望に変わった点は2010参院選での「民主10議席減」で表現されました。
そして、今回の総選挙では「自公300議席、民主70議席」程度と伝えられるのですが、自民への「信賞」が無い点が特徴的です。自民党自身の調査で追い風を感じられないのです。下野した自民に党変革は無く、民主党がこけてくれる形で得る政権復帰では、3年前に自民追放を強烈に願った有権者が来年の参院選で支持してくれる可能性は極めて低いでしょう。ブルームバーグの《安倍自民総裁:政権奪還してもはらむ「参院選リスク」−16日に衆院選》は次の指摘をします。《慶応大学大学院の曽根泰教教授は、自公政権が復活した場合の課題について「参院で法案が否決されることが多くなり、政権交代したのに決められないとか決まらないという批判は出てくる。そこを覚悟で政権運営をしないといけない」と指摘。経済評論家の上念司氏は「衆院選は勝って当たり前」とした上で、「景気の部分で腰折れすると間違いなく7月の参院選で大敗してそのまま引きずりおろされる」との見方を明らかにした》
昨年初、《『新政権を育てるのに失敗』年賀状での心配事》で「政治とカネ」に政局話で空騒ぎするマスメディア批判を書きました。政権に厳しい有権者の信賞必罰パターンは決まっているのですから、国政選挙の間に意味がある政策的実績を残せるようにマスメディアも考えないと、不毛な政権交代が延々と繰り返されることになります。
2005年から国政選挙で起きた有権者の信賞必罰ぶりをまとめました。
選挙 【政権側】【野党側】
2005衆院 信賞→→→→→→→(小泉改革へ失望)
2007参院 必罰→→→→→→→(衆参ねじれ国会)
2009衆院 必罰______信賞→→(政権交代)
2010参院 必罰
2012衆院 必罰______信賞無し(政権交代?)
2013参院 必罰?
小泉郵政解散で有権者が政治に関わる味を覚えたのは間違いありません。その年9月の《時評「勝った以上は『改革の党』にさせよう》で、最後にこう書きました。「再来年夏の参院選だって小選挙区同然です。民意の動かし方を知った有権者が失望して逆に動けば、底なしの大敗だってあります。それに今回の選挙での動き、今後求められる改革は、自民党の従来型支持基盤を壊す方向にあるのは明白です。小泉後継とも目される方たちが超大勝に慄然としているのは当たり前のことなのです」
小泉構造改革は有権者の期待に反して、細部を丸投げする形で中途半端に終わりました。小泉氏にはシングル・イシューに単純化して訴える能力はあっても、政策を体系的に仕上げる力は無かったわけです。日本は変わると思いこんで投票した有権者の「必罰」は、2007参院選で自民に27議席減の大敗をもたらし「衆参ねじれ国会」が生まれました。この過程で小泉後継の安倍政権は既に落第になっていました。
2009総選挙で「民主圧勝308議席、自民惨敗119議席」は必然の道筋にあったとするしかありません。《衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線》でも民主党への期待は記録されています。それが軽い失望に変わった点は2010参院選での「民主10議席減」で表現されました。
そして、今回の総選挙では「自公300議席、民主70議席」程度と伝えられるのですが、自民への「信賞」が無い点が特徴的です。自民党自身の調査で追い風を感じられないのです。下野した自民に党変革は無く、民主党がこけてくれる形で得る政権復帰では、3年前に自民追放を強烈に願った有権者が来年の参院選で支持してくれる可能性は極めて低いでしょう。ブルームバーグの《安倍自民総裁:政権奪還してもはらむ「参院選リスク」−16日に衆院選》は次の指摘をします。《慶応大学大学院の曽根泰教教授は、自公政権が復活した場合の課題について「参院で法案が否決されることが多くなり、政権交代したのに決められないとか決まらないという批判は出てくる。そこを覚悟で政権運営をしないといけない」と指摘。経済評論家の上念司氏は「衆院選は勝って当たり前」とした上で、「景気の部分で腰折れすると間違いなく7月の参院選で大敗してそのまま引きずりおろされる」との見方を明らかにした》
昨年初、《『新政権を育てるのに失敗』年賀状での心配事》で「政治とカネ」に政局話で空騒ぎするマスメディア批判を書きました。政権に厳しい有権者の信賞必罰パターンは決まっているのですから、国政選挙の間に意味がある政策的実績を残せるようにマスメディアも考えないと、不毛な政権交代が延々と繰り返されることになります。